2005 Fiscal Year Annual Research Report
プレート収束境界における広域変成帯の温度-圧力-変形経路と流動場の解明
Project/Area Number |
15340167
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩森 光 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80221795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥海 光弘 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (10013757)
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Keywords | プレート境界 / 沈みこみ帯 / 広域変成帯 / 変形 / 温度場 / 褶曲 / 有限要素法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、プレート収束境界の地質・岩石に記録されている温度-圧力履歴と流動・変形から、収束境界でどのような力学的・熱的イベントが起こったのかを読み取ることである。このために本年度は、まず露頭や岩石にみられる構造や組織と流動・変形の関係性を理論的に整理した。その結果、これまでに流動・変形の指標として用いられている構造・組織は、(1)微小領域の無限小変形(結晶中包有物の配列や配向性等)、(2)微小領域の有限変形(放散虫化石の形態、石英ファブリックなど鉱物の配向性等)、(3)有限領域の有限変形(岩質境界の形状(褶曲構造)等)に分類・整理された。このうち、鉱物の配向性は、変成帯の変形履歴を考察する上で重要な役割を果たしているが、対象鉱物が再結晶する間のみの情報しか記録していないこと、および応力に対する組織形成の機構・関係が必ずしも明確ではないことなど、変形指標としては難点がある。この難点は、鉱物中の包有物についても同様である。しかし、いずれも、鉱物の化学組成から、成長時あるいは再結晶時の温度圧力を変形と結び付けられる利点がある。一方、放散虫の形態や褶曲構造からは温度圧力履歴は得られないものの、初期条件が(比較的)はっきりしており、総合的な変形記録としてはロバストである。しかし、褶曲発達の力学は、比較的単純な線形安定理論、数値計算による解析が行われただけである。そこで、褶曲構造と応力の関係を再現する有限要素法コードを開発した。また、四国三波川帯地質調査・サンプリングを実施し、包有物に富む柘榴石・斜長石の構造解析、岩質境界の褶曲構造(特に卓越波長の解析)を進めている。残念ながら、大きな目標であった変形と温度圧力履歴を有機的に組み合わせる段階にまでは至っていないが、今後、数値計算と実際の褶曲構造の解析、柘榴石や斜長石中の包有物配列の解析を同時に進めて、総合的理解に結び付けたい。
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Research Products
(3 results)