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2004 Fiscal Year Annual Research Report

沿岸域のセディメントトラップ試料に基づく渦鞭毛藻シストのタフォノミー

Research Project

Project/Area Number 15340177
Research InstitutionNagasaki University

Principal Investigator

松岡 數充  長崎大学, 水産学部, 教授 (00047416)

Keywordsセディメントトラップ / 大村湾 / 渦鞭毛藻 / 発芽培養実験 / Protoperidinium / 単細胞PCR
Research Abstract

継続調査している大村湾南部に設置したセディメント・トラップより採取した沈降物を125μmと20μm目の篩を用いて篩い分け,20μm目の篩上の残滓試料より渦鞭毛藻シストを捕集した.シストの顕微鏡観察察を行うと共に,細胞質の詰まった生シストを濾過海水の入ったマルチウェルに1細胞ずつ分離し,20℃,恒明条件下で培養することにより発芽実験を行った.接種後毎目観察し,発芽細胞と空シストの多態を記録した.また,発芽した遊泳細胞のDNAを抽出し,単細胞PCRによりSSU rDNAの配列を決定した.さらに同分類群の系統関係を明らかにするために,長崎県沿岸域に出現したさまざまな種の遊泳細胞の配列も決定し,シストからの発芽細胞と併せて分子系統解析を行った.系統樹はΓ補正により重みづけした距離行列を用い,近隣結合法により構築した.
Protoperidinium thulesenese(Balech)Balechのシストは,球形で直径55〜60μm,表面に顕著な装飾物はない.シスト壁は褐色でそれほど厚くなく,内側に薄膜をもつ.発芽孔はスリット状で,ほぼ真ん中に入ってシストの2/3から3/4周していることから,偽横溝に沿っていると推察される.
遊泳細胞は,体高40〜50μm,体幅35〜40μmで高さが幅よりも長く,上殻は下殻よりもかなり大きい.上殻はほぼ三角形,下殻は台形で左右の輪郭が丸みを帯びている.横溝は細胞のかなり下方に位置し,明瞭にくぼむ.横溝は腹面で幅の半分程度ずれる.縦溝は短く,深い.鎧板は,頂板1'の上部が頂板3'と接し,前挿間板2aはquadraである.これらの形質からP.thulesenseと同定される.
P.thulesenseのシストは,Dodge(1985)により褐色球形でスリット状の発芽孔をもつと報告されているが,それ以降の報告はない.今回,改めてP.thulesenseが褐色球形でtheropylic型発芽孔のシストを形成することを確認した.SSU rDNAを用いた分子系統解析の結果では,形態学的に1属でまとめられていたProtoperidinium属は少なくとも大きく2群に分かれた.一群にはP.americanumと共にtheropylic型発芽孔をもつProtoperidiniumと単系統群を形成した.系統関係を考慮すると,これまでProtoperidinium属のシストはsaphopylic型,diplopsalid類のシストはtheropylic型としていた類型区分は成立しないことが明らかになった.

  • Research Products

    (4 results)

All 2004

All Journal Article (3 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 有害渦鞭毛類Cochlodinium polykrikoides Margalef研究の現状2004

    • Author(s)
      松岡薮充, 岩滝光儀
    • Journal Title

      日本プランクトン学会報 51

      Pages: 38-45

  • [Journal Article] Vertical distribution and germination ability of Alexandrium spp.cysts (Dinophyceae) in the sediments collected from Mure Bay of the Seto Inland Sea,2004

    • Author(s)
      Mizhushima, K., Matsuoka, K.
    • Journal Title

      Phycological Research 52

      Pages: 408-413

  • [Journal Article] Analysis of marine environmental changes based on dinoflagellate cyst biostratigraphy in the East China Sea.2004

    • Author(s)
      Cho Hyun-Jin, K.Matsuoka
    • Journal Title

      Bulletine of the Marine and Environmental Research Institute, Cheju National University 27

      Pages: 9-13

  • [Book] 大村湾-超閉鎖系海域「琴の海」の自然と環境2004

    • Author(s)
      松岡數充
    • Total Pages
      210
    • Publisher
      長崎新聞社

URL: 

Published: 2006-07-12   Modified: 2016-04-21  

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