2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15340182
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Research Institution | UNIVERSITY OF TSUKUBA |
Principal Investigator |
林 謙一郎 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (40124614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤巻 宏和 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90133933)
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Keywords | 熱水鉱床 / 斑岩型鉱床 / 重金属 / 流体包有物 / 放射光蛍光X線法 / 熱水の沸騰 |
Research Abstract |
本研究では,熱水の沸騰に伴う重金属の気相及び液相への分配を実験により定量的に求めることを重要な目的としている。高温高圧状態で共存する気相および液相中の金属濃度を決定する事が必要で,このための実験手法として人工流体包有物法を新たに開発した。石英母結晶中にCuおよびZn濃度既知の流体包有物を合成し,流体包有物中の重金属濃度を高エネルギー加速器研究機構において放射光蛍光X線法により測定した。蛍光X線法では母結晶によるX線の吸収効果が大きく,流体包有物中の金属濃度を定量分析するためには分析手法の確立が必要である。母結晶表面からの深度,CuおよびZn濃度,蛍光X線強度の関係を求める検量線を作成する実験を進め,その結果を論文としてまとめた。三者の関係は母結晶の密度,母結晶によるX線吸収係数などを用いて理論的に予測することが可能で,理論値と検量線は良く一致した。このことは経験的に求められた検量線をCu・Zn以外の元素にも適用することが可能なことを示している。斑岩型鉱床に伴う流体包有物の重金属濃度の定量に応用し,各種重金属濃度を推定した。この成果により,流体包有物の分析から鉱床形成期の各ステージにおける熱水中の重金属濃度の変化を定量的に議論することが技術的に確立された。熱水の沸騰に伴う気体・液体の分離時に,重金属が気液両相にどのように分配するかを実験的に求めた。沸騰条件下で流体包有物を合成し,気相包有物および液相包有物中の重金属濃度を放射光蛍光X線法で定量することにより,重金属の気/液分配係数を推定した。Cuは沸騰時に選択的に気相に移動し,気/液間の分配係数は熱水中の硫黄濃度と相関することが明らかになった。斑岩型鉱床から高濃度のCuを含む気相包有物が発見され注目されていたが,本研究によってこのメカニズムが始めて明らかになった。
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Research Products
(5 results)