2004 Fiscal Year Annual Research Report
キンバーライト及びマントル物質の化学・同位体組成からみる地球深部の化学的環境
Project/Area Number |
15340183
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
兼岡 一郎 東京大学, 地震研究所, 名誉教授 (30011745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 俊一 東京大学, 地震研究所, 助教授 (50188869)
佐野 有司 東京大学, 海洋研究所, 教授 (50162524)
瀧上 豊 関東学園大学, 法学部, 教授 (40206909)
三浦 弥生 東京大学, 地震研究所, 助手 (90282730)
本多 了 東京大学, 地震研究所, 教授 (00219239)
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Keywords | キンバーライト / マントル / 化学的環境 / 3He / 4He比 / 海洋島玄武岩 / 還元的 / タングステン同位体比 / 核 |
Research Abstract |
昨年度から引き続きキンバーライト及びさまざまなマントルの情報を得られる岩石について、マントル深部の化学的な状態を探る試みを行った。中央海嶺玄武岩の値より明らかに高い26Ra(1Raは大気の3He/4He比に相当)まで達する3He/4He比を得た西グリーンランドのキンバーライトに関して、試料採取に立ち会った研究者に直接会って採取場所やその状況について確認した結果、キンバーライト試料が地表に露出していた期間は高々1万年以下であることが明らかになった。このことは宇宙線照射により生成した3Heの影響で3He/4He比が高くなったとの可能性を否定し、キンバーライトのマグマ源が海洋島玄武岩などと同様のマントルであることを保証した。さらにそのマグマ噴出形態の違いから、キンバーライトは海洋島玄武岩などよりも浅い部分での周囲からの影響を受ける割合が少ないことが予想され、キンバーライトが示す相対的に還元的な環境が地球深部の状態を反映している可能性も示唆された。また核などからの影響があると、半減期900万年の消滅核種ハフニウム182から生成したタングステン182の付加の程度に差があることから、上部マントル起源の岩石試料などとは異なったタングステン同位体を示す可能性がある。その同位体比分析をキンバーライトや玄武岩試料などに対して行うため、タングステンの精製法を開発した。陰イオン交換クロマトグラフィーを用いてフッ酸-塩酸系の溶離液で分離を行い、共存するチタン、ジルコニウムなどをタングステン同位体比測定に支障のないレベルまで低下させ、生成したタングステン同位体比を測定した結果、0.4エプシロンの精度で測定可能であることを確認した。この分析精度があれば核とマントルのタングステン同位体比の差は2エプシロン以上と予想できるので、核からマントル物質への影響を検証することが可能であり、今後はキンバーライトや海洋島玄武岩などの測定を行っていく予定である。
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Research Products
(6 results)