2004 Fiscal Year Annual Research Report
Hf-W同位体系からみた地球内部構造進化と物質循環
Project/Area Number |
15340191
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
平田 岳史 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (10251612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井田 茂 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (60211736)
榎森 啓元 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30262257)
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Keywords | 地球形成 / 金属コア形成 / 放射年代測定法 / 超微量元素分析 / 同位体分析 / 質量分析法 / 地球化学試料 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
地球がどのような時間をかけて現在の大きさに成長したのか、また、その中心部にある核が惑星集積のどのタイミングで形成されたかは、地球の形成・進化の歴史を理解する上で、最も基本的かつ重要なテーマである。本研究では、短寿命核種を用いた高精度年代測定法として、ハフニウム-タングステン年代測定法の実用化を行い、超高圧変成帯(チベットのクロミタイト層)や、世界最大のホットスポットであるハワイの海洋島玄武岩(OIB)、さらには分化した隕石群を対象に高精度年代測定を行い、数値シミュレーションに匹敵する年代精度(10万年〜100万年)で地球内部物質の分化と循環の歴史を明らかすることを目的とする。本年度は、分解処理した試料から、超微量のタングステンを高回収率で分離するための化学分離操作法の開発を行った。過塩素酸-フッ化水素酸-硝酸系の混酸による強力分解と、カーボンブロックを用いた高効率加熱方式の採用により、試料の完全分解と化学分離時のタングステンの損失の低減が同時に達成でき、タングステン回収率を95%以上(従来は60-80%程度であった)にまで改善することが可能となった。この技術を地球化学試料に応用したところ、一部の堆積岩や熱水性堆積物から、タングステンの同位体分別現象の検出に世界で初めて成功した。これにより、地球内部からのタングステン供給過程、あるいはマントルでのタングステン循環過程に関する直接的な情報を引き出せる可能性が現実的となった。また、質量分析計内でのタングステンのイオン化を促進する手法も開発し、従来の1/5程度のタングステン量(100ナノグラム)で、高精度同位体データを得ることが可能となった。また、数値シミュレーションからは、ジャイアントインパクト時の地球内部の溶融状態に対する予察的知見が得られ、具体的な地質や地域、さらには試料の種類などを絞り込む上で有益な情報となった。
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Research Products
(6 results)