2003 Fiscal Year Annual Research Report
精密同位体比測定による隕石中の消滅核種の検出と太陽系初期年代学への応用
Project/Area Number |
15340194
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
米田 成一 国立科学博物館, 理工学研究部, 主任研究官 (60210788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 洋 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10208770)
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Keywords | 消滅核種 / Cs-135 / 隕石 / Ba / 同位体 / Murchison / Sayama / Juvinas |
Research Abstract |
消滅核種は、太陽系形成時には存在していたが、半減期が短いために46億年経った現在では壊変し尽くして存在しない核種である。しかし、隕石中等では壊変してできた娘核種の同位体異常として検出できる場合があり、太陽系初期の年代学に応用されている。筆者らは普通コンドライトであるBeardsley隕石から消滅核種Cs-135(半減期230万年)によると考えられるBa-135の明確な同位体異常を世界で初めて発見した(Hidaka et al.,2001)。 本研究では、炭素質コンドライトを中心にBa同位体の分析を続けた。これらのうち、CMグループに属するMurchison隕石とSayama隕石から酸により抽出した試料からは、Ba-135とBa-137の正の同位体異常が見つかった。これはγ-processにより生成されたcomponentであると考えられる。一方、酸抽出後のフラクションは、presolar SiCに見られるs-process、componentの同位体パターンを示した。他の炭素質コンドライト試料は小さな同位体異常しか示さず、詳細な検討はできなかったが、やはりこれら2つのcomponentが混ざっていると考えられる。これら、特にr-process componentの影響が大きいため、消滅核種Cs-135による同位体異常ははっきりとしないが、Allende CAIsのデータと同じと仮定してexcessを求めると、CMグループの隕石の平均として、約7(+5/-2)百万年という年代が得られた。これは、消滅核種Mn-53を利用したOrgueil隕石中の炭酸塩の年代、約17-18百万年(Endress et al.,1996)に比べて短い。同位体の再分配が起こった可能性が考えられる。 また、エコンドライトであるJuvinas隕石の分析では、まったく同位体異常が見られなかった。これは上述のようなcomponentおよびCs-135由来の成分がエコンドライト母天体上での火成作用によって、均質化している可能性が高い。 年度末になったが、分析精度の向上のために質量分析計の検出部のファラデーコレクタを交換した。今後も安定した精密同位体比測定が続けられるよう調整を行っている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] H.Hidaka, Y.Ohta, S.Yoneda: "Nucleosynthetic components of the early solar system inferred from Ba isotopic compositions in carbonaceous chondrites"Earth and Planetary Science Letters. 214. 455-466 (2003)