2005 Fiscal Year Annual Research Report
精密同位体比測定による隕石中の消滅核種の検出と太陽系初期年代学への応用
Project/Area Number |
15340194
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Research Institution | National Science Museum |
Principal Investigator |
米田 成一 独立行政法人国立科学博物館, 理工学研究部, 主任研究官 (60210788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 洋 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10208770)
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Keywords | 消滅核種 / セシウム-135 / 隕石 / バリウム / 同位体 / Orgueil / Murray / Mighei |
Research Abstract |
消滅核種は、太陽系形成時には存在していたが、半減期が短いために46億年経った現在では壊変し尽くして存在しない核種で、隕石中にその痕跡が発見される場合があり、初期太陽系年代学に利用されている。本研究は、Beardsley隕石からBa同位体異常として痕跡を初めて発見した消滅核種Cs-135(半減期230万年)の検出とこれを用いた年代測定法の確立を目的とする。昨年度はCKグループやCRグループ等の特殊な炭素質コンドライトの分析を行ったが、本年度は、多くの隕石で同位体異常の見つかったCMグループの分析を続けるとともに、英仏の自然史博物館からOrgueil隕石の提供を受けて貴重なCIグループの分析を行った。CMグループのMurray隕石とMighei隕石およびCIグループのOrgueil隕石からは、狭山隕石やMurchison隕石と同じくBa-135とBa-137の大きな同位体異常が見つかった。両者の同位体異常はかなり相関しており、r-過程元素合成により生成された成分の付加を示唆している。一方、CVグループのEfremovka隕石の同位体変動はAllende隕石と同じく比較的小さかった。CIおよびCMグループの酸抽出フラクションの同位体比について、r-過程による付加成分をAllende CAIからの推定値を用いて補正すると、Cs/Ba比が高いほどBa-135の異常が大きくなる傾向が見え、これはCs-135による異常の可能性が高い。炭素質コンドライトでは普通コンドライトに比べて酸によるCsの選択的溶出は効果的ではなかったが、消滅核種Cs-135による同位体異常の検出には有効であると考えられる。
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