2005 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマにおける粘性散逸性の渦形成と異常粘性の測定
Project/Area Number |
15340202
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田中 雅慶 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (90163576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 信次 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助手 (50311204)
河野 光雄 中央大学, 総合政策学部, 教授 (00038564)
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Keywords | 渦 / 異常粘性 / レーザー誘起蛍光法 / ドップラー分光 / プラズマホール / 粘性渦 |
Research Abstract |
プラズマホールと名付けられた特異な渦の形成機構と異常粘性を詳細に調べた。平成16年度に、波長可変色素レーザーを用いた誘起蛍光ドップラー分光システムを開発したが、本年度は受光系をさらに改良してSN比の向上とデータ取得時間の短縮化を図った。改良の結果、誘起蛍光信号は最大で25倍になり、一回の放電時間(〜120秒)内に波長スキャンを完了することが可能となった。従来は1時間程度必要であった計測が1/30に短縮されたことになる。また方向性プローブによる周方向流速分布の測定結果と比較し、良い一致をみた。これにより、高い信頼度でプラズマ流速の測定が可能になった。また、プラズマホールの形成機構を明らかにするため、径方向の力のバランスを詳細に調べた。その結果、中心部は遠心力とローレンツ力がつり合っていることが明らかになった。これは、E×Bドリフトであるとする従来の予想を覆す結果である。一方、プラズマホールの周辺部は、E×Bドリフトの領域である。結果としてプラズマホールは二つの領域から構成されており、中心部は遠心力が、周辺部は電場が支配する領域であることが分かった。この遠心力が決めるドリフトは、大気の運動では旋衡風(cyclostrophic wind)と呼ばれ台風の中心部を構成する流れである。一方周辺部の地衡流(コリオリ力と圧力勾配で決まる流れ)と呼ばれる流れはE×Bドリフトに同等な流れである。結局プラズマホールと台風は類似の渦構造であることが明らかになった。しかしながら、遠心力が卓越する中心部では約1000λ_D程度にわたって準中性条件の自発的破れが起きていることも観測された。準中性条件はプラズマの最も基本的な性質であり、その条件が自発的に破れることはきわめて例外的である。これらの結果は、昨年オランダで開催された第27回電離気体国際会議で発表し、Best Poster Awardを受賞した。
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Research Products
(2 results)