2004 Fiscal Year Annual Research Report
流通型高温高圧NMR装置の開発と超臨界水中の化学反応の解明
Project/Area Number |
15350011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梶本 興亜 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30029483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹腰 清乃理 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10206964)
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Keywords | 流通型NMR / 高温高圧NMR / Claisen転位 |
Research Abstract |
超臨界水反応のその場観察と反応速度を決定を目指して、超臨界水用流通型高温高圧NMRを開発・改良した。本研究では、反応速度を定量的に決定出来ることが第一目標であり、それを用いて超臨界水中の有機反応の機構について確かな情報を得ることが第2の目標であった。 第一の目標を実現するためには、流通系の流路内の温度を混合点から観測点まで一定に保つことが要求される。このために補助ヒーターを付け加えて、2つの補助ヒーターと高温N_2ガスによって温度制御を行った結果、温度揺らぎは1℃以下に押さえられた。さらに、Binomial Pulse sequence法を用いて、大量にある水の^1Hシグナルを約1/400に抑制することによって、反応物や生成物の観測を容易にした。改良の成果を確認するために、Allyl phenyl ether(APE)のClaisen転位反応について、流速を変えてAPE減少過程を直接追跡し、1次プロットによって反応速度定数を求めた。さらに、温度を変えて反応速度定数を決定し、アレニウスプロットにより活性化エネルギーを算出した。活性化エネルギーは25.5±1.0kcal/molと決定され、これは低温で求められている他の溶媒中での活性化エネルギーと比較して妥当と考えられる。 第二の目標については、2-PhenoxypropanalからMethylbenzofuranを生成する縮合反応をとりあげて、これがラジカル経由で生成するかどうかを、生成物の経時変化をNMRで追うことによって決定しようとしている。この反応には未知の点が多いことと、ベンゾフランの収率が低いこと等の問題点があり、研究の進展がやや遅れている。この反応を含め、既存の反応系についても実施例を増やしている。
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