2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15350020
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
海野 雅史 群馬大学, 工学部, 教授 (20251126)
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Keywords | シロキサン / 無溶媒反応 / グリーンケミストリー / 高効率反応 / シラノール / 超分子 / シルセスキオキサン / 脱水縮合 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き無溶媒合成の原料となる新規シラノールの合成及び無溶媒でシロキサンへ導く方法を検討した。その結果、以下に示した新規知見を得た。 1)これまでに報告例のない、かご状のテトラシルセスキオキサンの有用な原料となる、かさ高いシリル置換基を有するシラノール(t-BuMe_2SiSi(OH)_3, and t-Bu_2MeSiSi(OH)_3)の合成を行い、その構造を決定した。後者のシラノールは単位格子内で4分子が水素結合により球状の超分子を形成しており、テトラシルセスキオキサンの前駆体となりうることが明らかになった。また、きわめてかさ高い置換基を有する(i-Pr_3Si)_3SiOHおよび(t-BuMe_2Si)_3SiOHを合成、構造決定し、水素結合ができない置換基の大きさの限界を示した。 2)昨年度までは、無溶媒合成の触媒としてp-トルエンスルホン酸を用いていたが、今回さらに安価で、入手の容易なハロゲン化水素酸を用いて、脱水縮合する方法を検討した。その結果塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸いずれの場合も、ジフェニルシランジオールから脱水縮合が進行し、環状シロキサンが得られた。反応はヨウ化水素酸、臭化水素酸、塩酸の順に早く進行し、いずれの場合もp-トルエンスルホン酸を用いるよりも収率が向上した。同様の方法を原料としてイソプロピルフェニルシランジオールを用いて行ったところ、これまでに低い収率のみでしか合成できなかった、シクロトリシロキサン(i-PrPhSiO)_3が収率よく得られた。通常イソプロピルフェニルのようなあまりかさの大きくない置換基では、シクロトリシロキサンではなく、より環の大きいシクロテトラシロキサンが主生成物として得られる。今回の無溶媒合成では、選択性についても溶液状態の反応と異なり、有効であった。
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