2004 Fiscal Year Annual Research Report
結晶多形制御による構造選択的な有機結晶作成法の開発と一般化に関する研究
Project/Area Number |
15350023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田村 類 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (60207256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津江 広人 京都大学, 地球環境学堂, 助教授 (30271711)
高橋 弘樹 京都大学, 人間・環境学研究科, 助手 (00321779)
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Keywords | 結晶多形転移 / 有機結晶 / 優先富化現象 / ラセミ混晶 / 相変化 / 光学分割 / X線結晶構造解析 / 過飽和溶液 |
Research Abstract |
キラル化合物の結晶化プロセスのメカニズム解明のための第一のテーマとして、ラセミ体のアミノ酸およびジペプチドの誘導体の塩を種々合成し、ついでこれらの化合物を過飽和溶液から再結晶し、途中経過をin situ全反射赤外分光法により追跡することにより、結晶化の際に多形転移が起こるか否かについて検討した。その結果、セリンのN,N,N-トリメチルアンモニウムp-置換ベンゼンスルホナート誘導体が多形転移を起こすことを確認した。今後、これらの安定結晶や準安定結晶の結晶構造解析を行うことにより、多形転移のメカニズムを解明する予定である。 結晶化プロセスのメカニズム解明のための第二のテーマとして、我々が発見した新しい光学分割現象である優先富化現象を示すことが明らかとなった。キラルな2級アルコール性のアンモニウムスルホナート塩類を種結晶として用い、それらと構造が類似しているが、優先富化現象を示さなかった一群のアンモニウムスルホナート塩類のエタノール過飽和溶液に加えることにより、後者の優先富化現象を誘起させることに成功した。それぞれの場合に析出する結晶のDSC測定と構造解析を行うことにより、多形転移のメカニズムを検討した。その結果、加えた種結晶が基板として作用し、多形転移様式を制御したために、優先富化現象が誘起されたことが判明した。一方、逆のケースとして、優先富化現象を示さなかった塩を種結晶として、優先富化現象を示した塩のエタノール過飽和溶液に加えることにより、後者の優先富化現象が阻害されることが明らかになった。やはり、この場合も、種結晶による多形転移の制御が原因であることが明らかとなった。これらの種結晶基板上で起こる多形転移現象をEpitaxial Transitionと命名した。
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Research Products
(5 results)