2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15350026
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
水野 一彦 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (10109879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前多 肇 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (40295720)
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Keywords | エナンチオ選択性 / 不斉光反応 / 光アリル化反応 / 光還元反応 / プロトン化 / ラジカルアニオン / マンデル酸 / 9-シアノフェナントレン |
Research Abstract |
エナンチオ選択的な光化学反応の開発を目的として研究を行ない、以下の知見を得た。 (1)1,1-ジシアノ-2-メチル-3,3-ジフェニルプロペン(1)のアリルトリメチルシランによる光アリル化反応をフェナントレンと酢酸の存在下で行なったところ、アリル化生成物(2)と還元体(3)がそれぞれ34%、31%の収率で生成した。酢酸が存在しない場合には2はまったく得られず、複雑な混合物を与えた。酢酸の代わりに1に対して当量のRおよびS体のマンデル酸、L-乳酸、L-ジベンゾイル酒石酸をそれぞれ添加して反応を行なったところ、S体のマンデル酸を用いたときに最も高い3.4%ee、4.8%eeで2および3が得られることが明らかになった。 (2)9-シアノフェナントレン(4)と2,5-ジメチル-2,4ヘキサジエン(5)を含むメタノール溶液またはメタノール/アセトニトリル混合溶液に光照射すると、4の還元体(6)とメトキシ基が導入されたジエン5の二量体(7)がそれぞれ4を基準として85%、288%の収率で得られた。電子供与体として不斉ジエンである(-)-p-メンタ1,5-ジエンを用いた場合、およびプロトン供与体として不斉カルボン酸であるL-乳酸を用いた場合、4%ee、3%eeで6が生成することが明らかになった。本反応では4のラジカルアニオンの9位が主にプロトン化され、生じたラジカルの不均化によって7が生成し、6のエナンチオ選択性はラジカルアニオンのプロトン化の段階で発現するものと推定した。
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Research Products
(7 results)