2003 Fiscal Year Annual Research Report
糖質変換を利用した抗腫瘍性天然物の効率的全合成研究
Project/Area Number |
15350027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
千田 憲孝 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (50197612)
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Keywords | 糖質変換 / 抗腫瘍性天然物 / タキソール / アクチノボリン / フマギロール / Ferrier環化反応 / 3成分連結反応 / D-グルコース |
Research Abstract |
生物活性を示す天然有機化合物を効率的に合成するプロセス開発は重要なテーマである.またこのプロセスにおいて,地球資源・環境に負荷をかけることのない原料を用いることも肝要である.本研究では植物が大量に生産する「糖質」に着目し,この骨格変換反応を利用することによって,タキソール,アクチノボリン,フマギロールといった有望な抗腫瘍活性を有する天然有機化合物の効率的な全合成手法を開発することを目的とした. 入手容易な糖質であるD-グルコ-スを5-エノピラノシド体へ変換,これに触媒量のトリフルオロ酢酸水銀を作用させることによりFerrier環化反応を行い,シクロヘキセノン誘導体を合成した.これにビニル銅試薬を1,4-付加させ,生じたエノラートを2-ヒドロキシプロパナールと反応させたところ,3成分が結合した成績体が高立体選択的かつ高収率で得られた.本反応を鍵として用い,天然物とは鏡像の関係にある(-)-アクチノボリンを全合成した.また本合成の中間体から天然型の(+)-アクチノボリンの全合成も達成することができた. シクロヘキセノンへの1,4-付加,それに続くエノラートトラップという,いわゆる「3成分連結反応」を利用することで,D-グルカールを出発原料としたタキソールのCD環部の効率的合成を達成した.このCD環部の合成中間体を利用し,別途調製したA環部とカップリングし,タキソールABC環部合成の前駆体を得た.ヨウ化サマリウムや強塩基を用いる分子内アルキル化反応などにより環化を検討したが,現在までのところ環化体は得られていない.現在,同じ中間体から結合位置を変更した基質を合成し,更なる検討を行っている. D-グルコースを出発原料としたフマギロールの合成も順調に進行し,鍵となるシクロヘキセノールのClaisen転位反応,側鎖の炭素伸長反応などに成功し,全合成の重要中間体の合成に成功した.現在最終体への変換を検討中である.
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Research Products
(1 results)