2006 Fiscal Year Annual Research Report
糖質変換を利用した抗腫瘍性天然物の効率的全合成研究
Project/Area Number |
15350027
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
千田 憲孝 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (50197612)
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Keywords | 糖質変換 / 抗腫瘍性天然有機化合物 / タキソール / アクチノボリン / フマギロール / Ferrier環化反応 / 3成分連結反応 |
Research Abstract |
生物活性を有する天然有機化合物を効率的に合成するプロセスの開発は重要な課題である。本研究では、植物が大量に生産する「糖質」に着目し、この骨格変換反応を利用することによって、タキソール、アクチノボリン、フマギロールといった、有望な抗腫瘍活性を有する天然有機化合物の効率的な全合成プロセスの開発を目的とした。 タキソールの合成研究では、入手容易な糖質のひとつであるD-グルカールを出発原料とし、Ferrier環化反応によりキラルな多置換シクロヘキセノンを合成した。これとビニル金属種、ホルムアルデヒドを用いる「3成分連結反応」によりC環部の立体選択的合成を達成した。さらにこれとA環部をカップリングし、A環部にα,β-不飽和ケトン部、C環部にアルデヒドを有する基質において、ヨウ化サマリウムを用いる分子内閉環反応を行ったところ、高収率でタキサン骨格を構築することに成功した。C-11、C-12位間に二重結合を導入することにより、タキソールの全合成を完成すべく、さらに検討を進めている。 アクチノボリンの合成研究では、D-グルコース由来の多置換シクロヘキセノンに対し、ビニル金属、2-アルコキシプロパナールを用いる「3成分連結反応」により、アクチノボリンの炭素骨格を一挙に構築した。この時、2-アルコキシプロパナールの水酸基の保護基の選択、反応系への添加物の有無により、生じるアルドール成績体の立体化学が劇的に変化するという興味ある知見を得た。ここで得られた成績体を利用し、アクチノボリンの立体選択的全合成を達成した。 フマギロールの合成研究においては、D-グルコース由来のシクロヘキセノールにおけるClaisen転位反応により、フマギロールの側鎖部を立体選択的に構築した。Stille反応による側鎖部の伸長、立体選択的スピロエポキシドの構築、バナジウム触媒による側鎖部へのエポキシド導入反応などにより、フマギロールの全合成を達成した。
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Research Products
(4 results)