2005 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍活性を有する新規天然物の独創的・実用的合成法の開発
Project/Area Number |
15350028
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
林 雄二郎 東京理科大学, 工学部, 助教授 (00198863)
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Keywords | 4+4付加環化反応 / ラジカル / Diels-Alder反応 / エポキシキノール / エポキシツビノール |
Research Abstract |
我々は既に強い血管新生阻害活性を有するepoxyquinol A,Bの全合成を達成している。これらの化合物は2H-pyran誘導体の[4+2]型Diels-Alder反応によって生成すると考えられているが、合成の過程で、epoxyquinol A,Bの他にepoxyquinol Cおよびepoxytwinol Aという化合物が得られることを見いだした。epoxyquinol CはDiels-Alder反応によって生成するが、epoxytwinol Aは形式的には[4+4]付加環化反応が進行して生成した化合物と考えられる。これまでの[4+4]付加環化反応は光による反応、または遷移金属を用いる反応が知られているが、熱的に進行する[4+4]付加環化反応はWoodward-Hoffmann則によると禁制であり、その例はほとんど知られていない。今回、この熱的な[4+4]付加環化反応のメカニズムを計算化学的なアプローチを用いて検討した。その結果、本反応が3つの段階からなるビラジカルを経由する反応である事を明らかにした。すなわち、第一段階ではC8-C8'に結合が生成すると同時にビラジカル中間体が生成する。次にC8-C8'結合を軸として回転する。最後にC1-C1'結合が生成するというものである。中間体のラジカルは共役により、また水素結合により安定化されており、これが、通常は困難とされている[4+4]反応が進行した理由と考えられる。
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Research Products
(1 results)