| Research Abstract |
(1)Cp^*M(CO)_3Me(M=Mo, W, Cp^*=η-C_5Me_5)とかさ高いMes基を有するヒドロジシランHSiMe_2SiMeMes_2(Mes=2,4,6-Me_3C_5H_2)の光反応によって得られた,塩基の配位していないシリル(シリレン)錯体Cp^*M(CO)_2(=SiMes_2)(SiMe_3)の反応性を検討した。N, N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)とモリブデン錯体との反応では,ケイ素上の置換基が分子内1,3-転位して,さらにシリレン配位子にDMAPが配位した錯体Cp^*Mo(CO)_2(=SiMesMe・DMAP)(SiMesMe_2)(1)が生成した。しかし,タングステン錯体は全く反応しなかった。ニトリル類RCNとの反応では,モリブデン錯体はシリル基がシリレン配位子に分子内1,3転位して,さらにニトリル上にジシラニル基が転位したCp^*Mo(CO)_2(RC=NSiMe_2SiMes_2Me_2)(2)を与えたが,タングステン錯体は全く反応しなかった。一方,イソシアニド類との反応では,モリブデン及びタングステン錯体が両者とも反応した。生成物は,イソシアニドがSi-Mes結合に挿入して,イミド窒素がシリレンケイ素に分子内配位した,塩基で安定化されたシリル(シリレン)錯体Cp^*M(CO)_2(=Si(Mes)(C(Mes)=NR))(SiMesMe_2)(3)であった。錯体1,2,および3の構造は,結晶構造解析によって確認した。
(2)嵩高いアミノ基をケイ素上に有するトリヒドロシラン(Me_3Si)_2NSiH_3と鉄錯体CpFe(CO)_2MeをDMAP存在下で光照射したところ、塩基で安定化されたシリレン(ヒドリド)鉄錯体CpFe(H)(CO){=SiH(N(SiMe_3)_2)・DMAP}が得られた。この錯体は,溶液中で2つのジアステレオマーの混合物として存在する事が,NMRによって明らかになった。
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