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2005 Fiscal Year Annual Research Report

陽イオン性ボランシグマ錯体の合成とホウ素-水素結合の不均等解裂に関する研究

Research Project

Project/Area Number 15350031
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

河野 泰朗  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (10262099)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 下井 守  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30092240)
Keywords金属錯体 / ホウ素 / ボラン / マンガン / タングステン / ルテニウム / 不均等解裂 / シグマ錯体
Research Abstract

我々が以前合成したボリルタングステン錯体[Cp^*W(CO)_3(BH_2・PMe_3)](Cp^*=η^5-C_5Me_5)を,低温で,配位力の極めて弱い対陰イオンを持つ酸を用いてプロトン化したところ,陽イオン性タングステンボラン錯体[Cp^*W(CO)_3(η^1-BH_2・PMe_3)]^+の生成がNMRにより観測された。この化合物は-80℃では安定に存在する。しかしその溶液を室温に置くと,速やかに分解して中性ヒドリド錯体を与えた。このことは,陽イオン性錯体においてタングステン中心が極めて電子不足であるために,配位したボランのBH結合がH(-)…B(+)に強く分極していることを示している。
次に陽イオン性でありながら潜在的に電子豊富であるルテニウムフラグメント[(η^5-C_5R_5)Ru(PMe_3)_2]^+ (R=H, Me)を用いて,より安定なボラン錯体の合成を試みた。上記のタングステン錯体や以前我々が報告した陽イオン性マンガンボラン錯体[Mn(CO)_4(PR_3)(η^1-BH_3・PMe_3)]^+においては,中心金属が電子不足過ぎるために,錯体がBHの不均等解裂を通して分解しやすいと考えたからである。合成は,クロロ錯体[(η^5-C_5R_5)Ru(PMe_3)_2Cl]のクロロ配位子を,アルカリ金属イオンで引き抜き,空いた配位座にボランを配位させるという手法で行なった。この方法はボラン錯体の合成にははじめて適用した反応であり,副反応の少ない,有用な方法であることがわかった。生成物は陽イオン性ルテニウムボラン錯体[(η^5-C_5R_5)Ru(PMe_3)_2(η^1-BH_3・EMe_3)]^+ (R=H, Me ; E=N, P)であり,黄色結晶として単離できる。また当初の狙い通り,この錯体はボラン錯体としては極めて安定であり,溶液中,室温で一週間放置しても目立った分解は認められない。ルテニウムボラン錯体の構造はX線回折により明らかにできた。またその反応性についても検討し,ヒドロシランとの反応では,ボラン-シラン配位子交換を経由してSi-H結合の活性化が起こり,陽イオン性ジヒドリド錯体が生成した。二電子供与体との反応では,配位子交換が主に観測された。

  • Research Products

    (1 results)

All 2006

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] A Computational Study on Fluxional Behavior of Group 6 and 7 Transition Metal Complexes of Borane-Lewis Base Adducts2006

    • Author(s)
      Yasuro Kawano, Taeko Kakizawa, Kazunori Yamaguchi, Mamoru Shimoi
    • Journal Title

      Chemistry Letters 35(印刷中)

URL: 

Published: 2007-04-02   Modified: 2016-04-21  

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