2004 Fiscal Year Annual Research Report
フォトクロミックイオノフォアによる分離・分析・計測の光増幅
Project/Area Number |
15350043
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
木村 恵一 和歌山大学, システム工学部, 教授 (50107140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢嶋 摂子 和歌山大学, システム工学部, 助手 (80272350)
坂本 英文 和歌山大学, システム工学部, 助教授 (10192593)
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Keywords | クラウン化スピロベンゾピラン / 金属イオン錯形成 / フォトクロミズム / 光制御 / 分離・分析 / 溶媒抽出 / 膜輸送 / 光増幅 |
Research Abstract |
1)スピロベンゾピラン残基を3個または4個持つクラウン化オリゴ(スピロベンゾピラン)について、多価金属イオン錯形成能ならびに液-液抽出能、さらには、その光照射効果を調べ、新たな多価金属イオンの光増幅分離・分析の可能性を探った。その結果、クラウン化オリゴ(スピロベンゾピラン)では、期待された3価イオンなど多価金属イオンに対する顕著な特異性は発現しなかったが、銅のような遷移金属イオンに対する親和性が増した。また、複数のスピロベンゾピラン残基を反映し、銅(II)イオンと銀(I)イオン間のイオン選択性の光制御が可能となった。これは、光異性化によって生じたメロシアニン体のフェノラートアニオンと中心金属イオンの相互作用の効果がより顕著に現れた結果である。(相互作用において、前者のイオンでは強く、後者のイオンでは弱い。) 2)クラウンエーテル環を有するマラカイトグリーンを用いて、膜電位光応答を調べた結果、顕著な電位応答が認められた。 3)フォトクロミッククラウン化合物の材料としての機能性および利便性を向上させるために、高分子化を行った。すなわち、クラウンエーテル環スピロベンゾピラン環を側鎖に含むビニルポリマーを合成し、その金属イオン錯形成ならびに光異性化挙動を調べた。その結果、このフォトクロミッククラウン高分子では、対応する低分子化合物とは全く異なる物性(高分子効果)および機能が認められ、物質分離光制御の可能性を示唆した。 4)アルカリ金属イオン以外(重金属イオンなどのソフトな金属イオン)の光制御を行うために、大環状配位子(クラウンエーテル)部位のヘテロ原子を硫黄原子に置き換えたフォトクロミック化合物を分子設計し、銀、水銀、鉛イオンなどを対象とするフォトクロミックチアクラウン誘導体を合成した。予想通り、アルカリおよびアルカリ土類金属イオンよりもソフトな金属イオンである銀イオンなどに大きな親和性を示し、その光制御も可能であることがわかった。
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Research Products
(6 results)