2004 Fiscal Year Annual Research Report
π電子活性型ルイス酸を用いる革新的芳香環形成反応の開発
Project/Area Number |
15350052
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅尾 直樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60241519)
|
Keywords | 芳香環化反応 / ナフタレン化合物 / ベンゼン化合物 / 銅触媒 / ブレンステッド酸 / ルイス酸触媒 / Diels-Alder反応 / レトロDiels-Alder反応 |
Research Abstract |
報告者は、塩化金触媒存在下でオルト位にアルキニル基を有するベンズアルデヒド1とアセチレン化合物2を反応させると、ナフタレン骨格が一気に構築できることを既に見出している。反応は基質1のアセチレン部位が塩化金に配位することで活性化され、これを通してカルボニル基が活性化されてベンゾピリリウム型中間体3が形成されると考えられる。続いてこれに対しアセチレン化合物がDiels-Alder反応を起こしビシクロ型中間体4となり、これからカルボニル酸素が転位して生成物5が得られたと考えられる。今回、この芳香環形成反応を更に発展させるため種々検討したところ、本反応をアセチレン化合物2の代わりにα位に水素を有する脂肪族アルデヒド化合物6やケトン化合物7を用いて1と反応を行ったところ、アセチレン化合物2を用いたときと同様に、α位にケトン官能基を有するナフタレン化合物が一気に合成できることを見出した。本反応は反応系内でアルデヒドやケトンがエノールフォームを形成し、これが上記中間体3に対しDiels-Alder反応を起こしたと考えられ、アルデヒドやケトン化合物を直接Diels-Alder反応に用いた初めての例と考えられる。このことは、アセチレン化合物を用いた場合とアルデヒドやケトン化合物を用いた場合で、ナフタレン骨格上の置換基の位置が異なる異性体が得られることからも明らかであり、これはDiels-Alder反応における配向性がアセチレン化合物とエノールフォームでは逆転するためである。
|
Research Products
(2 results)