2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15350058
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒沢 英夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40029343)
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Keywords | クラスター錯体 / 第10族元素 / 有機金属化学 |
Research Abstract |
有機金属錯体の構造と物性・反応性の相関関係を解明することは、新しい合成手法の開発や材料創製にとって重要な鍵となる課題である。本研究の目的は、主としてニッケル、パラジウムおよび白金の第10族金属の複合核有機金属錯体の合成と構造、物性、反応性の解明を行い、単核錯体には見られない複合核錯体独特の化学的特性を利用した新規触媒反応と材料開発法を確立することである。本年度の研究成果として、共役炭化水素を鋳型とする鎖状ポリパラジウムサンドイッチ錯体の生成過程について詳しく検討した結果を報告する。鋳型分子として1,4-ジフェニルブタジエンを選び、ヘキサキスアセトニトリルジパラジウム(1)との反応を行ったところ、このジエンに2つのパラジウムがサンドイッチ状に挟み込まれた錯体Aが生成した。Aのそれぞれの配位子の片方のフェニル基は、3つの炭素を使うπ-ベンジル型で1つのパラジウムに配位することをX線構造解析から確認した。ついでAに等モルのPd(0)錯体を反応させると、鎖成長が起こり直鎖状3核サンドイッチ錯体、ピスジエン-トリパラジウムBが得られた。Bの構造もX線解析で決定し、配位子中のすべてのフェニル基がπ-ペンジル型に両端のパラジウムに配位していた。さらにBとPd(0)錯体との反応で、4核サンドイッチ錯体、ビスジエン-テトラパラジウムCが生成した。Cの配位子中のフェニル基は、4つの炭素を使って2つのパラジウムをバインドしており、残りの2つのパラジウムにはジエン部分の炭素がバインドすることが、X線構造解析から判明した。以上のパラジウム鎖の段階的成長過程の観測は、今後の機能性複合核錯体の設計・構築に有用な情報となる。
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Research Products
(2 results)