2005 Fiscal Year Annual Research Report
ホスファアルケン配位子を持つ有機遷移金属錯体の創製と触媒機能
Project/Area Number |
15350060
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小澤 文幸 京都大学, 化学研究所, 教授 (40134837)
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Keywords | ホスファアルケン系配位子 / ジホスフィニデンシクロブテン / パラジウム錯体 / ルテニウム錯体 / クロスカップリング触媒 / 脱水環化触媒 / ヒドロシリル化触媒 / π共役分子 |
Research Abstract |
(1)DPCB配位パラジウム錯体が、臭化アリールと亜鉛シアニドとのクロスカップリング反応に対して良好な触媒活性を示すことを見いだした。特に、p-ニトロフェニルブロミドやo-置換フェニルブロミドの反応では、従来のホスフィン系パラジウム触媒をはるかに超える高い活性が得られた。 (2)DPCB配位子パラジウム触媒を用いて、cis-2-ブテン-1,4-ジオールと活性メチレン化合物との脱水環化反応による2-ビニル-2,3-ジヒドロフラン類の合成を、簡便かつ高収率で行えることを示した。本反応の副生成物は水のみであり、原子経済性に優れた反応と言える。 (3)DPCB配位ルテニウム錯体を用いる末端アルキンの(Z)-選択的ヒドロシリル化反応を用いて、(Z,Z)-ビス(2-ブロモエテニル)アレーンおよび(Z,Z,Z)-トリス(2-ブロモエテニル)アレーンを高収率かつ高立体選択的に合成できることを示した。すなわち、ジエチニルアレーン、トリエチニルアレーンを二重あるいは三重ヒドロシリル化し、続いて得られた(Z,Z)-ビス(2-ブロモエテニル)アレーンおよび(Z,Z,Z)-トリス(2-ブロモエテニル)アレーンとNBSとの反応によって目的生成物を98%以上のZ選択性で合成単離した。 (4)(3)で得られた(Z,Z)-ビス(2-ブロモエテニル)アレーンを原料として、種々のall-cisポリ(アリーレンビニレン)類(all-cis PAV)を立体選択的に合成できることを示した。 (5)同様に、フェニレンビニレン単位を1〜3個含むcis-オリゴ(フェニレンビニレン)類(cis-OPV)の立体選択的合成法を開発した。また、フェニレンビニレン単位が2以上の場合に、オリゴマーが片道光異性化を起こすことを示した。 (6)フェナントレン骨格を含むDPCB-phen配位子を新たに開発し、DPCB-phen/白金/ジフェニルアセチレンからなる、dπ-pπ型共役分子を合成した。
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