2003 Fiscal Year Annual Research Report
無溶媒酸触媒反応:巨大アニオンをもつケイ素ルイス酸による理想的グリーン触媒反応
Project/Area Number |
15350062
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
畠中 康夫 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (80344117)
|
Keywords | シリルカチオン塩 / 交差アルドール反応 / 無溶媒反応 / ルイス酸触媒 |
Research Abstract |
アシル位に強力な電子吸引基であるペンタフルオロフェニル基をもつアミド基の分子内配位をともなう4配位シリルカチオン塩の合成に成功した。対アニオンとして、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのような巨大アニオンを有するケイ素塩である。X線結晶解析により、中心ケイ素原子がsp^2性を反映した平面配置をとるとともに、異常に長いSi-O結合をもつことを明らかにした。これらの構造的特長から、ケイ素上の正電荷は、弱いSi-O配位結合により効果的に安定化されていると考えられる。 このペンタフルオロフェニル基をもつ4配位シリルカチオンは、従来のルイス酸触媒にくらべて、飛躍的に高い触媒活性を示すことが分かった。例えば、シリルエノールエーテルとケトンの交差アルドール反応において、従来のルイス酸触媒によっては、反応はほとんど進行しないが、今回開発したシリルカチオン塩を触媒として用いて反応を行ったところ、定量的に対応するアルドールを与えた。また、これらの反応は無溶媒条件において特に効率的に進行することが分かった。すなわち、溶媒を使用せずに、1mol%のシリルカチオン塩を触媒として、交差アルドール反応を行なったところ、反応は円滑に進み、ほぼ純粋なアルドールを得ることができた。他のルイス酸触媒、例えば、Me_3Sil、Me_3SiOTf、B(C_6F_5)_3、BiCl_3等を用いた場合、無溶媒条件下では、同様な交差アルドール反応は効率的に進行せず、基質の分解反応などが起こり、アルドール体の収率は低下した。この結果から、無溶媒条件における高いルイス酸触媒活性は、シリルカチオン塩のユニークな特徴であることが分かった。シリルカチオン塩が、無溶媒条件で高い触媒活性を示す理由として、対アニオンとして巨大アニオンをもつことが考えられる。電荷の分散した巨大アニオンは反応性がほとんどないため、無溶媒条件でも基質の分解反応を引き起こさず、ケイ素化学種は高いルイス酸触媒活性は維持できるものと考えられる。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Yasuo Hatanaka: "Unusual Behavior of Silicon Oligomers and Polymers Having Functional Groups."Journal of Organometallic Chemistry. 685. 207-217 (2003)
-
[Publications] Yasuo Hatanaka et al.: "The First Synthesis and X-ray Structure of Silaferrocenophane Containing Pentacoordinate Moieties"Chemistry Letters. (印刷中). (2004)