2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15350065
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
八島 栄次 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50191101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 勝浩 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 講師 (90303669)
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Keywords | ポリフェニルアセチレン / らせん構造 / 誘起CD / 不斉増幅 / キラリティー識別 / 誘起らせん / 液晶 / らせん記憶 |
Research Abstract |
生体内では、らせん構造を有する生体高分子が自己組織化し、超分子構造体を構築し、高度の機能を発揮している。これら生体系が有するナノスケールの分子モジュールを人工的に構築するためには、これまでの共有結合に加えて、非共有結合を積極的に利用することが必要不可欠である。本研究では、研究代表者が独自に創成した概念である「高分子へのらせん誘起とその記憶」の分子レベルでの機構の解明とそれに立脚した新規誘起らせん高分子の設計・合成、水中への展開を目指し,以下に示す成果を得た。 1.側鎖に亜リン酸エステル部位を有するポリフェニルアセチレン誘導体は、光学活性なアミン存在下、DMSO中でらせん構造を形成し、長波長領域に誘起CDを示し、光学活性アミンをアキラルアミンで置換することにより記憶できることを見い出している。本研究で新規に合成したフェニルエステル部位を有するポリマーが、温度や水の添加によってらせん反転することを見い出した。その結果、一方の鏡像異性体のアミンを用いることにより、左右両方向のらせんを誘起し、さらに記憶できることを明らかにした。イソプロピル基やエチル基を有するポリマーでは、温度によるらせん反転は起こらず、水の添加によってのみらせん反転し、側鎖の置換基の嵩高さがらせん反転に重要な影響を及ぼすことが明らかになった。 2.1で得られたらせんポリマーの記憶は動的である。そこで、ジアゾメタンを用いて側鎖の亜リン酸エステル部位をメチルエステル化したところ、反応は不斉選択的に進行し、特にイソプロピル誘導体では、リン酸エステル部位の真のキラリティーに基づく大きなCDを示すことを見い出した。また、これらポリマーが水中でも多くの生体分子のキラリティーに応答してらせん構造を形成し、誘起CDを示すことも明らかにした。 3.側鎖にアミノ基を有するポリフェニルアセチレンの塩酸塩が,光学活性な酸存在下、濃厚水溶液中でコレステリック液晶相を発現し、液晶場では希薄溶液中よりもさらに高感度にキラリティーに応答し、らせんの片寄りが不斉増幅することを見い出した。また、液晶形成能を利用して配向フィルムを調整し、そのX線解析により、らせん構造を決定することに初めて成功した。
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Research Products
(5 results)