2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15350066
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
幅上 茂樹 山形大学, 工学部, 助教授 (30252266)
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Keywords | ビナフトール / ポリナフチレン / 芳香族系高分子 / 酸化カップリング重合 / 2,3-ジヒドロキシナフタレン / 光学活性高分子 / 不斉触媒 / 立体制御 |
Research Abstract |
これまでの研究で、市販の安価な化合物である2,3-ジヒドロキシナフタレンをモノマーとする酸化カップリング重合において、新規な触媒である銅(I)-ビスオキサゾリン(Phbox)錯体が、ビナフトール骨格がその4,4'-位で連続的に結合したユニークな主鎖構造からなるポリ(2,3-ジヒドロキシ-4,4-ナフチレン)を室温で定量的に与えることを見出している。しかし、重合における立体制御は必ずしも十分とは言えず、また、ポリマーは新規な芳香族系高分子としても非常に興味深いものであることから、本年度は、本重合系におけるより高度な構造制御・立体制御の可能性について検討を行った。 構造制御に関しては、非対称な構造を有する6,6'-ビ-2-ナフトール誘導体をモノマーとして本触媒系を用いて重合を行ったところ、従来型の酸化カップリング重合触媒に比べ、高選択的にクロスカップリング反応が進行すること(〜96%)を見出した。ビナフトールを与える酸化カップリング反応において触媒的にクロスカップリング反応を行った例はこれまでになく、極めて興味深い結果である。 また、立体制御に関しては、これまでに効果的な不斉酸化カップリング触媒として知られている種々のアミノ酸から調製した光学活性なオキソバナジウム(IV)錯体は、重合条件を適切に設計することにより、高収率でポリマーを与えるものの、立体選択性は上述の銅(1)-Phbox錯体に比べいずれも低く、2,3-ジヒドロキシナフタレンの不斉重合触媒としては有効ではなかった。これに対して、市販のオキソバナジウム(IV)塩と市販の光学活性配位子から容易に調製される新規な錯体が、高立体選択的(〜80%ee)に重合を進行させ、ポリマーを高収率で与えることを明らかにした。このような光学活性バナジウム錯体を用いた有機反応は、これまでに報告例はなく、新規な不斉触媒としても極めて興味深いものである。
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Research Products
(4 results)