2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15350069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 文彦 京都大学, 工学研究科, 教授 (50107695)
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Keywords | 多糖 / ヘリックス・コイル転移 / ゾル・ゲル転移 / カラギーナン / キラリティ / 連鎖性水素結合 / ジッパー型架橋 / らせん会合 |
Research Abstract |
多糖類に見られるヘリックス形成とその凝集によるゲル化現象では,架橋のメカニズムは単鎖ヘリックスが凝集する場合と,2重鎖,3重鎖等の多鎖ヘリックス架橋の場合に大別される.ヘリックスの核生成・成長速度がヘリックス架橋形成速度より十分に速い系(カラギーナン等)について2つのケースに分けて理論相図を導出した.特に2重鎖架橋の場合には,高温・希薄領域では分子分散した均一溶液,高温のゲル領域ではランダムコイルが短いヘリックスで架橋されたタイプIのネットワーク,低温ゲル領域では2重ヘリックスが短いランダムコイルで架橋されたタイプIIのネットワーク,されに低温ではネットワークが形成されずにヘリックス対(剛直棒分子)が溶解した溶液となることを示した(田中).ヘリックスの量の濃度・温度依存性を理論計算し,短鎖イオタカラギーナンの水溶液の施光度測定結果と比較したところ良好な一致が見られた. 次に,単鎖ヘリックスの分子間会合によりヘリックスのキラリティ(左巻きヘリックス量と右巻きヘリックス量の差)が増幅されることを示した.これにより単鎖ヘリックスで研究されてきた非線型増幅,マジョリティ則,少数指令則,等の基本的なキラリティ増幅メカニズムが,有限濃度において高分子の分子間相互作用によりどのように拡大されるか,その分子論的機構が理論的に解明されつつある(戸田・田中). また,単鎖ヘリックス凝集現象に及ぼす添加塩の効果を調べるために,部分的に剛直なセグメントを有する荷電柔軟鎖(バネ・ビーズ模型)を用いて,対イオンおよび添加塩イオンの凝集現象をモンテカルロシミュレーション法で調べた(山内・田中).その結果,剛直部分のみならず柔軟鎖部分にも大量の対イオンが凝集することが分かって来た.
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