2004 Fiscal Year Annual Research Report
ポリ[3]ロタキサン:初めてのトポロジカルポリマーの合成と性質
Project/Area Number |
15350072
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高田 十志和 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40179445)
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Keywords | ポリロタキサン / ポリ[3]ロタキサン / ポリロタキサンネットワーク / チオールジスルフィド交換反応 / トポロジカルゲル / 動的共有結合化学 / 高分子合成 / ロタキサン |
Research Abstract |
本年度は、昨年度開発した新しい骨格を持つポリマーであるポリ[3]ロタキサンの合成法についてさらに詳細に研究するとともに、このポリマーの性質について検討した。 分子構造の影響:モノマーの構造が及ぼすポリマーの分子量の効果を調べる目的で、ダンベル型分子の中心のジスルフィド結合とアンモニウム問のスペーサーの長さを長くしたジスルフィド型ダンベル分子、並びにめがね型分子のクラウンエーテル間のスペーサーの長さを長くしたクラウンエーテルめがね型分子を合成した。これらの分子を用いて対応するポリ[3]ロタキサンを合成した。軸が長くなると重合速度は遅くなり、反応が平衡に達するまでに1週間以上の時間を要したが、生成ポリマーの分子量は数万となり、1:1付加体の生成を抑制することでポリマーの分子量を上げることができることがわかった。 分解反応性:得られたポリマーの性質を検討する目的で、熱分析並びに分解反応性について検討した。熱分析の結果、140℃付近にガラス転移温度を持ち、300℃付近に分解温度を示すポリマーであった。ジスルフィドの典型的な還元系であるトリフェニルホスフィン+水を用いてポリマーを処理したところ、元の合成原料であるめがね型分子とダンベル型分子の還元体であるチオールが定量的に得られた。この結果は、このポリマーのリサイクル性を示している。 ポリロタキサンネットワーク:めがね型分子の代わりに主鎖にクラウンエーテル構造を含むポリマーを用いてダンベル型分子と反応させたところ、DMF等の極性溶媒に膨潤するゲルが得られた。ゲルは無色透明で弾力性があり、新しいタイプのゲルポリマーとして注目される。ポリクラウンエーテルのクラウンエーテル含量をコントロールすることでゲル特性の制御が可能であった。
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Research Products
(8 results)