2004 Fiscal Year Annual Research Report
能動防御材料による工業製品の信頼性と耐久性の向上研究
Project/Area Number |
15350094
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武田 邦彦 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (80255645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 敏治 名古屋大学, エコトピア科学研究機構, 教授 (20115629)
棚橋 満 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (70314036)
金山 直樹 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (80377811)
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Keywords | 能動防御 / 自己修復 / 信頼性 / 耐久性 / ポリカーボネート / ポリフェニレンエーテル / 分子量変化 / 劣化 |
Research Abstract |
当初の計画の通り、種々の材料が使用中に劣化する過程および修復剤により修復する過程等の材料の構造変化を分子レベルで追跡する評価手法の確立を中心に研究を行った。特に、本年度設備備品として導入した「高速液体クロマトグラフ」を用い、材料劣化時の分子量変化について検討を行った。 1.自然界における修復系の調査・検討 自然界において極自然に行われている修復機構の調査の後、体系化を行い、人工材料、特に高分子材料への適応を試みた。調査の結果、生物が行っている「呼吸」は、研究代表者らが提唱した「ポリフェニレンエーテル」の自己修復反応と酷似しており、自然界の修復系および防御系の模倣は、能動防御材料の確立に有用である事が示された。 2.ポリカーボネートの劣化機構の検討 ポリカーボネートの劣化機構の検討として、酸による加水分解劣化の検討を行った。その結果、酸浴時間の増加に伴い、分子量の低下および末端基の増加が、「高速液体クロマトグラフ」および「熱分解-ガスクロマトグラフ/質量分析計」を用いる事により確認された。本年度に得られた知見と前年度までに得られた知見より、ポリカーボネートの自己修復反応は、拡散律速で進行する事が示唆された。 3.「高速熱サイクル試験」による分子量変化の追跡 「高速熱サイクル試験機」を用いた拘束条件下におけるポリカーボネートの劣化挙動を分子量測定により検討した。ポリカーボネートを-55〜125℃の温度範囲で10000サイクルの高速熱サイクル試験を行った所、サイクル数の増加に伴い、分子量の低下が確認された。また、高分子材料の力学負荷においては、主鎖の切断が誘起され劣化が進行するが、材料の緩和時間との関係で、材料内部に成形歪等のエネルギーの蓄積が確認出来、それが擬似的なストライエーションによって緩和されている可能性が示唆された。 本年度は、対象試料の劣化挙動を重点的に検討し、高分子材料の劣化機構に関して貴重な知見を得た。
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Research Products
(6 results)