2003 Fiscal Year Annual Research Report
バナナ型メソゲン基の主鎖型液晶高分子―形が誘起する強誘電性とキラリティ
Project/Area Number |
15350130
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 順次 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90111666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸木田 雅利 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30301170)
川内 進 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (80204676)
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Keywords | 液晶 / バナナ型分子 / キラリティ / 自発分極 / 強誘電性 / 主鎖型高分子 / オキサチアゾーツ / ベントコア |
Research Abstract |
バナナ型形状をした液晶化合物(一般にはベントコアーは1,3-ジヒドロキシベンゼン)は、アキラル分子であるにもかかわらず、キラリティを自発的に発生させたり(B2相およびB4相)、また強誘電、反強誘電相(B2相)を示したりする。B2相におけるキラリティは層に対する傾きにより発生する。そのため、各層は+キラリティと-キラリティを持ち、その積み重なりかたに、2種のホモキラルと1種のラセミ相がある。また、自発分極(ベント方位がその分極方位)の発生の仕方に強誘電、反強誘電の2種があり、あわせて6種の相が存在する。一方B4相は、2種の旋光度の符号が異なるドメインを形成し、その光学的性質およびX線解析の結果より、ブロックが相互にねじれたTGB様のらせん構造をとっていると考えられている。本研究では、以上の知見を元に、ベントコアーにオキサチアゾール環、そしてサイドウイングにフェニル、およびビフェニル基を有するバナナ型分子を設計し、その液晶相転移、相構造の同定を行った。その結果、高温領域では、通常の直線状の液晶分子と同種な液晶、具体的にはネマチック相、スメクチックA相、スメクチックC相、を形成するが、低温域では、バナナ型分子に典型的なB4相を形成することが明らかとなった。その理由は、オキサチアゾール環のベントコアーとしての開き角が大きいため、より低温で分子の軸周りの運動性が低下したときのみ、バナナ形状に由来する特徴が出てきたものである。来年度は、これらの分子を高分子化して、主鎖型高分子に由来する特徴、すなわち連結効果によるコンフォメーションの制約と運動性の制限、とカップリングさせ、バナナ型分子が示す構造の発現理由について明確にする予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] D.A.Coleman, J.Fernsler, N.Chattham, M.Nakata, Y.Takanishi, E.Korblova, D.R.Link, R.-F.Shao, W.G.Jang, J.E.Maclenna, O.Mondain-Monval, C.Boyer, W.Weissflog, G.Pelzl, L.-C.Chien, J.Zasadzinski, J.Watanabe, D.M.Walba, H.Takezoe, N.A.Clark: "Polarization-Modulated Smectic Liquid Crystal Phases"Science. 301. 1204-1211 (2003)
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[Publications] Y.Takanishi, T.Ogasawara, K.Ishikawa, H.Takezoe, J.Watanabe, Y.Takanashi, A.Iida: "Local layer structures in circular domains of an achiral bentcore mesogen observed by X-ray microbeam diffraction"Phys.Rev.. E68. 011706 (2003)
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[Publications] Kazuya Kumazawa, Michi Nakata, Fumito Araoka, Yoichi Takanishi, Ken Ishikawa, Junji Watanabe, Hideo Takezoe: "Important role played by interlayer steric interaction for the emergence of ferroelectric phase in bent-core mesogens"J.Mater.Chem.. 14. 157-164 (2003)