2003 Fiscal Year Annual Research Report
MHzリプロンの実時間直接測定による液体表面ダイナミクスの高速観察
Project/Area Number |
15360035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 啓司 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (00215584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美谷 周二朗 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10334369)
高木 堅志郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013218)
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Keywords | リプロン / 界面活性剤 / ラングミュア膜 / 2次元相転移 / 光散乱 / 迅速測定 / 分子吸着 |
Research Abstract |
本研究は、液体表面のランダム波動現象を実時間測定してこれを数値演算処理することで、1ms以下の時間オーダーで刻々変化する表面ダイナミクス測定を行う超高速リプロン光散乱装置を開発すること、またこれを用いて表面吸着分子膜の形成・崩壊過程や生体膜モデルとしての分子膜の刺激応答・伝達過程を明らかにする新たな高速表面現象研究の領域を切り拓くことを目的とする。 本年度はこれまでに我々が開発したリプロン光散乱測定システムの検出感度を大幅に向上させ、100msecの時間分解測定を可能にする新しい表面・界面の高速現象解析装置を作製した。光学系の改良による検出感度向上と電子系でのS/Nの改善を行い、さらに測定データを一度大容量のデジタルメモリに蓄積して高速数値演算処理することにより、分子吸着などの動的過程により刻々変化してゆく表面の動的過程を実時間で測定することが可能となった。 さらに作製された測定システムの性能評価を兼ねて、高濃度界面活性剤溶液について、その表面・界面への分子吸着現象の観察を行った。とりわけこれまでほとんどその報告例がない分子膜の圧縮過程に伴う擬似的な液膜-固体膜の相転移を観察することを期待して、圧縮変形速度に対して2次元圧力上昇の時間的ふるまいが変化する様子を詳細に調べた。その結果、ある閾値速度を越えて変形がおこるとき、表面圧変化に時間的なプラトー領域が現れることが明らかとなった.これは平衡状態では現れない新しいタイプの2次元相転移現象の存在を示す有力な証拠と考えられる。また液体を伝搬する表面波が媒質中に導入するずり変形場を利用して、巨大分子集合体の回転緩和現象を測定する装置を新たに開発し、分子配向場とリプロンとの相互作用を調べる研究を行った。
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[Publications] Sakai K, Tachibana K, Mitani S, Takagi K: "Laser excitation of high-frequency capillary waves"J COLLOID INTERF SCI. 264・(2). 446-451 (2003)