2003 Fiscal Year Annual Research Report
電子蓄積リングによる遠赤外線コヒーレント放射光の生成
Project/Area Number |
15360038
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
加藤 政博 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (30185871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
持箸 晃 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (10342635)
保坂 将人 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (60290897)
高嶋 圭史 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40303664)
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Keywords | シンクロトロン放射光 / 加速器 / 遠赤外線 / テラヘルツ光 / 電子ビーム / コヒーレント / 電子蓄積リング / ビーム不安定性 |
Research Abstract |
放射光リングを周回する電子ビーム上に1mm程度の電子密度の揺らぎを生成し、テラヘルツ領域でコヒーレント放射光を生成することを目指している。光強度は関与する電子数の二乗に比例するために通常の放射光に比べて桁違いに大強度となる可能性がある。平成15年度においては(1)密度変調の生成とその観測、(2)コヒーレント放射光検出系の整備、を進めることを計画していた。(1)については、分子科学研究所UVSOR電子蓄積リングで単一バンチに100mAを超える大電流を蓄積し、遠赤外線領域での放射光を観測した結果、ビーム電流値70mA以下では光強度は電子ビーム強度に比例したのに対し、70mA以上の領域では電子ビーム強度の増大につれて急激に光強度が増大するコヒーレント放射と思われる現象を観測することに成功した。この放射光は100マイクロ秒程度の持続時間のパルスとして放射されており、瞬間的には桁違いの大強度となっている。今後高時間分解能の観測により定量的な評価を行う。この現象は自発的なビーム不安定性による密度揺らぎの生成によるものと考えられる。一方、レーザーと電子ビームをアンジュレータ中で相互作用させることによる人為的な密度揺らぎの生成を試みる予定であり、現在、自由電子レーザーを大強度発振させるための調整が着実に進んでいる。またビーム上の密度揺らぎを直接観測するためのストリークカメラの調整を進めている。(2)については上述したように既存のボロメータを利用して波長領域5-50カイザでコヒーレントと思われる現象の観測に成功しており、22カイザのローパスフィルタを利用した粗いスペクトル情報も得た。その結果、放射は22カイザよりも長波長側で顕著に起きていることがわかった。さらに詳細なスペクトル情報が得られるように検出系の整備を進めている。
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