2004 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導トンネル接合素子を用いた基板吸収型テラヘルツ光検出器の開発
Project/Area Number |
15360040
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大谷 知行 独立行政法人理化学研究所, 川瀬独立主幹研究ユニット, ユニット研究員 (50281663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川瀬 晃道 独立行政法人理化学研究所, 川瀬独立主幹研究ユニット, 独立主幹研究員 (00296013)
山下 将嗣 独立行政法人理化学研究所, 川瀬独立主幹研究ユニット, 基礎科学特別研究員 (10360661)
DOBROIU ADRIAN.C 独立行政法人理化学研究所, 川瀬独立主幹研究ユニット, ユニット研究員 (90391846)
牧 謙一郎 独立行政法人理化学研究所, 川瀬独立主幹研究ユニット, ユニット研究員 (50392121)
佐藤 広海 独立行政法人理化学研究所, イメージ情報研究ユニット, 研究員 (20300874)
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Keywords | テラヘルツ光 / 検出器 / 超伝導トンネル接合素子 / 基板吸収 |
Research Abstract |
平成16年度は、昨年度のテラヘルツ(THz)光の初めての検出という結果を受けて、より詳細にTHz波検出の素過程について検討を行った。また、照射するTHz波の周波数を1.0-2.0THzまで変化させて、周波数応答特性の評価を行った。 まず、THz波検出の素過程の検討では、ストイキオメトリックな単結晶LiNbO_3の基板上に20、50、100μm角のサイズのSTJ素子を作製し、それぞれで得られる信号波形を観察した。その結果、電荷有感型プリアンプの出力信号に、立ち上がり時間が非常に短い成分(約0.1μs)と比較的長い成分(約5μs)が混在して存在することが初めて明らかになった。これらは、得られた積分電荷波形を時間微分した電流波形で容易に弁別することができ、X線測定との比較から、前者が電極に直接吸収された成分、後者が基板に吸収されて発生したフォノンを検出した成分と同定された。このことは、基板吸収率が非常に小さいサファイヤ基板を用いた検出素子において前者が支配的であることや、後述するように、後者の周波数応答特性がフラットに近いこととともコンシステントである。 次に、周波数応答特性のサイズ依存性を調べた。その結果、素子サイズが大きくなるにつれて周波数応答特性がフラットになることがわかった。このことは、素子サイズが大きくなると上記の2成分のうちの立ち上がりの遅い成分が支配的になるという結果と併せて、素子サイズが大きくなるにつれて幾何学的に基板吸収成分の寄与が増えていると説明できる。また、基板吸収成分が周波数応答特性がフラットであることは、広帯域の検出器として重要な特性であり、今後、大面積化を図ることでより実用的な検出器に近づけて行けるものと考えられる。また、直接吸収を利用した検出器についても今後検討を進めて行く予定である。
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Research Products
(4 results)