2003 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール疲労損傷機構の解明に基づく高耐疲労性を有するナノ結晶構造材料の創製
Project/Area Number |
15360056
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅田 淳 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60162913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植松 美彦 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80273580)
城野 政弘 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20029094)
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Keywords | ナノスケール / 疲労損傷 / 変動荷重 / き裂進展速度 / き裂開閉口挙動 / 粉末冶金 / 微視的観察 / 寿命評価 |
Research Abstract |
一つの結晶粒径が300〜500ナノメートルの超微細結晶粒P/Mアルミニウム合金を用い,一定振幅ならびに荷重比の異なる2段繰返し変動荷重下における疲労き裂進展試験を実施した.また走査型原子間力顕微鏡,電子顕微鏡およびレーザー顕微鏡により疲労破面の詳細観察を行い,ナノスケール疲労損傷機構の解明を試みた.まず一定振幅荷重条件下では,ΔK_<eff>値から計算されるき裂先端での有効繰返し塑性域寸法がき裂進展とともに大きくなり,結晶粒径の数倍程度に達した場合でも結晶粒界き裂進展が支配的であることが判明した.これは,塑性域の拡大とともに結晶粒内き裂進展が支配的となる,結晶粒径が数10μmの従来の洛製アルミニウム合金とは挙動が異なっている.またき裂開閉口挙動計測から,低ΔK域では塑性誘起き裂閉口に対して破面租さ誘起き裂閉口の重畳が顕著に生じることが明らかになった.さらに破面租さ誘起き裂閉口の重畳の程度は,走査型レーザー顕微鏡により測定される破面の10点平均租さR_Zをき裂先端開口変位CTODにて正規化した値と相関があることを示した. 2段繰返し変動荷重試験では,低レベル荷重下のき裂進展速度が一定振幅荷重下に比較して遅延するが,遅延の程度は従来の溶製アルミニウム合金と比較して小さいことを明らかにした.これは超微細結晶粒P/Mアルミニウム合金では,塑性域寸法はK_<max>値で決まるものの結晶粒径がナノオーダーであるために塑性域中に粒界は多くなる.したがって塑性ひずみ量は小さくなり,その結果塑性誘起き裂閉口の程度が溶製アルミニウム合金に比べて小さくなったためと考えられる.また2段繰返し変動荷重下においても,塑性誘起き裂閉口に対して破面租さ誘起.き裂閉口が重畳し,破面租さ計測から,ある程度変動荷重下のき裂開口点を予測できることを示した.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 菅田 淳: "超微細結晶粒P/Mアルミニウム合金の変動荷重下における疲労き裂進展挙動"日本機械学会 関西支部第79期走時総会講演論文集. No.044-1. 3-3-3-4 (2004)
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[Publications] 菅田 淳: "超微細結晶粒P/Mアルミニウム合金の2段繰返し変動荷重下における疲労き裂進展特性"日本機械学会 平成16年度材料力学部門講演会講演論文集. (印刷中). (2004)