2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール疲労損傷機構の解明に基づく高耐疲労性を有するナノ結晶構造材料の創製
Project/Area Number |
15360056
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅田 淳 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60162913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城野 政弘 福井工業大学, 工学部, 教授 (20029094)
植松 美彦 岐阜大学, 工学部, 助教授 (80273580)
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Keywords | ナノスケール / 疲労損傷 / 塑性予加工 / き裂進展速度 / き裂開閉口挙動 / 粉末冶金 / 微視的観察 / 寿命評価 |
Research Abstract |
一つの結晶粒径が300〜500ナノメートルの超微細結晶粒P/Mアルミニウム合金を用いた前年度の疲労き裂進展特性評価の結果,粉末粒界の接合強度の弱さのためバルクな特性としての延性が低く,その結果として疲労き裂進展抵抗が従来材と比較して低いという問題点が明らかなった.そこで,今年度は延性の向上を目的とした塑性予加工を与え,それが疲労き裂進展特性に与える影響についての検討を行った.塑性予加工は粗形材作成後据込鍛造を行うことで付与しており,据込率30%,45%の2種類の材料作成し比較検討した.塑性予加工を施すことで疲労破壊じん性値が向上し,中間進展速度域での疲労き裂進展抵抗が無加工材に比べて優れていることが明らかとなった.45%の強加工における特性は30%材と顕著な差はなく,30%程度の予加工が適していることが分かった.その反面,疲労き裂進展下限界値が低下する従来の延性材によく見られる傾向も得られたが,全進展速度域においてき裂進展速度曲線の勾配が緩やかとなり,き裂進展を考慮する耐疲労設計の観点からは安全に対する余裕度が向上したことがわかった. 一方,同一材料を用いた疲労き裂発生・微小き裂進展試験においては,材料内に含まれるアルミナ介在物もしくは粗大Si結晶を起点として疲労き裂が発生する場合が多く観察された.これら介在物は材料製造時に空気層にふれて酸化したものが混在し,また熱間加工時に成長したものと考えられる.これらは,き裂進展特性には大きな影響は及ぼさないが,疲労き裂発生寿命を極端に短くする悪影響を及ぼすこととなり,製造過程でのこれらの混入防止,Si結晶の粗大化防止技術が今後の検討課題となる.
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