2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール疲労損傷機構の解明に基づく高耐疲労性を有するナノ結晶構造材料の創製
Project/Area Number |
15360056
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅田 淳 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60162913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城野 政弘 福井工業大学, 工学部, 教授 (20029094)
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Keywords | ナノスケール / 疲労損傷 / 塑性予加工 / き裂進展速度 / き裂開閉口挙動 / 粉末冶金 / 微視的観察 / 寿命評価 |
Research Abstract |
一つの結晶粒径が300〜500ナノメートルの超微細結晶粒P/Mアルミニウム合金の疲労き裂進展抵抗の改善を目的とした塑性予加工の影響について次年度に引き続き評価を行うとともに,疲労き裂進展挙動に及ぼす荷重変動の影響を明らかにするとともに,中高温域での疲労強度特性についての検討を行った. 2段繰返し変動荷重下では従来材に比べてき裂進展速度の遅延の程度が小さいことが明らかとなった.これは,本材のき裂開閉口挙動の主要因子が破面粗さによるものであり,従来材のような塑性誘起き裂閉口が主要因子となる場合と比べて高レベル荷重のき裂開閉口挙動に及ぼす寄与が小さいことに起因していることが明らかとなった.き裂開閉口挙動を考慮した有効応力拡大係数範囲による整理では,変動荷重下のき裂進展速度曲線は一定振幅荷重下のそれとよく一致し,荷重変動の影響はき裂開閉口挙動により説明できることが明らかとなった. 中高温域の疲労強度特性に関して,塑性予加工を与えない材料では,き裂発生機構への温度依存性は認められず,粉末粒界面でき裂発生が生じていた.また,温度による疲労強度の低下は従来材に比べて小さいことが明かになった.また,き裂進展速度は高温環境下で高速となるが,その程度は従来材に比べて小さい.本材は温度上昇によるヤング率の低下が抑えられておりこのため進展抵抗の低下も抑制されたものと思われる.一方,塑性予加工材においては引張強度が205℃で約半分に低下するのに対して,疲労強度は2割程度しか低下せず,高温環境下での疲労特性が優れていることが明らかとなった.しかしながら.塑性予加工材では介在物起点とした破壊が多く見られ,温度上昇により介在物と母相の界面接着強度が低下したものと考えられる.
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