2005 Fiscal Year Annual Research Report
生体組織を構成する微細要素における力学的適応に関する研究
Project/Area Number |
15360062
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山本 憲隆 立命館大学, 理工学部, 教授 (40210546)
|
Keywords | バイオメカニクス / 力学的性質 / 微細構造 / 腱 / 線維束 / 線維 / 原線維 / コラーゲン |
Research Abstract |
腱や靭帯は直径100μm程度のコラーゲン線維束,直径1μm程度の線維,直径50〜500nmの原線維の順に階層構造をとっている.また,線維束は多数の線維や原線維とそれらの間を満たしているプロテオグリカンなどの線維間物質で構成されており,外周はEndotenonと呼ばれる薄い膜状の組織に包まれている.このため,腱や靭帯の基本的な性質を把握するには,これら微細構成要素レベルでの構造と力学的性質の関係を明らかにすることが重要である. 本研究では,マウス尾腱より摘出した線維束を攪拌装置にかけて,水流により線維間物質を除去した.この試料について,引張試験を行なうとともに,走査型電子顕微鏡や原子間力顕微鏡による微細構造観察を行い,線維や原線維と線維間物質の間の力学的相互作用について検討した.さらに,攪拌により分離した原線維の引張試験を行い,原線維と線維束の力学的関係について検討した. その結果,水流によって線維間物質が線維束より除去されると,線維束は原線維のレベルにまで分離されて,原線維同士の繋がりが無くなり,線維束の引張強度が低下することが明らかになった.このことから,線維間物質は,原線維の周りを取り囲むように存在して原線維同士を結合し,線維束の長軸方向の力学的性質に大きな影響を及ぼしていると考えられる.また,原線維の引張強度は86.3±8.2MPa(Mean±S.E.)で,線維束の引張強度の3.3倍と著しく大きくなった.以上の結果より,線維束の破断時には原線維が破断するのではなく,原線維同士を結合している線維間物質の部分で破断が起こると考えられる.
|
Research Products
(2 results)