Research Abstract |
本研究の目的は,従来の加圧成形型RBセラミックスの製造方法では実現不可能である寸法収縮率が小さく,複雑形状や量産品の製造に適した新しいRBセラミックスの製造方法を開発し,摺動部材への応用を図ることである.平成17年度では,平成15年度における研究で開発された射出成形型RBセラミックスの大気中無潤滑下における摩擦・摩耗特性及び摩擦・摩耗特性に及ぼす温度の影響を明らかにし,乾式クラッチ材としての射出成形型RBセラミックスの応用可能性について検討した. 平成17年度に得られた主な結果は以下のとおりである. 1.大気中無潤滑下において,射出成形型RBセラミックスは,SUS304に対して,幅広いすべり速度(〜3m/s),ヘルツ最大接触圧力(〜300MPa)条件下において,クラッチ材料として要求される0.15〜0.25の摩擦係数を示す.また,すべり速度の増加に対して,ほぼ一定の摩擦係数を示すことから,スティック・スリップ抑制効果を有し,クラッチ材料に要求される制振性に極めて優れる. 2.RBセラミックスの表面温度が室温(23℃)〜200℃において,射出成形型RBセラミックスのSUS304に対する摩擦係数は,温度の増加によらず,0.15から0.25付近の値を示す. 3.RBセラミックスの表面温度が室温(23℃)〜200℃において,射出成形型RBセラミックスの比摩耗量は,温度の増加によらず,1×10^<-8>mm^2/N以下の値を示す. 4.RBセラミックスの表面温度が室温(23℃)〜200℃において,相手材料であるSUS304の比摩耗量は,温度の増加によらず,1×10^<-9>mm^2以下の極めて低い値を示し,相手攻撃性が低い. 以上のことから射出成形型RBセラミックスは,大気中無潤滑下において,優れた摩擦・摩耗特性を示し,乾式クラッチ用摺動材料として十分実用化の可能性を有する材料であることが明らかとなった.
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