Research Abstract |
本研究では,高剛性で,広い作業領域が確保可能な新たなパラレルメカニズムとして,平面運動は案内テーブルで,空間運動は3自由度空間パラレルメカニズムで創成する,工作機械用機構を提案し,同機構を用いた工作機械の開発を行う. まず,提案するメカニズムを含む多自由度機構を対象として,任意方向の負荷に対し駆動部の弾性変形により出力部に生じる最大変位誤差を評価する方法を確立するとともに,同評価法に基づく出力変位誤差解析プログラムを開発し,開発を行う工作機械用機構の主要部分である3自由度空間パラレルメカニズムの解析を行った.解析結果より,パラレルメカニズムの位置・姿勢に対する出力変位誤差の変化の傾向を示すとともに,姿勢角の方向を考慮すれば同一の出力変位に対しても誤差を抑制し得ることを明らかにした.次に,パラレルメカニズムの連鎖の一部に板状の節を用いることで,曲げ変形を抑制し得ることを示すために,同プログラムにおいて板状節の弾性変形も考慮可能とした. 次に,以前に提案した任意方向への出力に対して駆動部に要する力および速度を評価する駆動特性評価法に基づき,検討する3自由度空間パラレルメカニズム解析用プログラムを作成した.また,同時に,同機構の干渉を考慮した作業領域解析プログラムを開発した.以上のプログラムを統合し,剛性,作業領域が最適な値となる,節の形状,対偶の配置など,機構の全体的な寸法を決定可能とした. ついで,加工条件を設定し,同条件を満足する機構の主要寸法を以上のプログラムなどを用いて実際に決定した.さらに,得られた結果に基づき,工作機械用機構全体の詳細設計を行った.現在,同結果に従って機構を製作している. この他,実際に加工を行う際に問題となる環境に影響される熱変形誤差の対策として,ボールねじの熱変形の測定結果より,適切な補正量を表す数式を導くことを検討した.すなわち,以前に行った両端支持の場合に加え,片端支持であるボールねじの熱変形を測定し,同変形量も周囲温度,ナット部の温度により簡単な一次式で表させることを見いだした.また,これらボールねじの熱変形を両端支持および片端支持を問わず,汎用な式形で表すことを検討し,多項式により,いずれの場合も少数部分の温度測定から高精度な補正式を導くことを可能とした.
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