Research Abstract |
本研究では,高剛性で,広い作業領域が確保可能な新たなパラレルメカニズムとして,平面運動は平面案内テーブルで,空間運動は空間3自由度パラレルメカニズムで創成する工作機械用機構を提案し,同機構を用いた工作機械の開発を行うとともに,そのキャリブレーション方法,加工誤差の補正方法を提案する. まず,昨年度の結果に基づき,工作機械用機構を設計するとともに,実際に製作を行った.製作した機構は100mm立方の物体が加工可能となるように,高さ800mm,幅600mm程度の寸法を有する.次に,同機構を用いて実際に加工を行うとともに,誤差のシミュレーションなどを行うための運動解析手法を検討した.用いるパラレルメカニズムは空間3自由度機構であるため,出力節わ位置・姿勢を表すために必要な6つの変数の中で,3つは指定可能であるが,他の3つは幾何学的な拘束条件から決定され従属的に生じる変位となる.そのため,空間3自由度パラレルメカニズムの逆運動学解析は通常の空間6自由度パラレルメカニズムに比べ容易でない.そこで,本研究では加工機用機構として適した位置・姿勢の表現方法を検討するとともに,同表現方法を用い,従属的に生じる変位を,指定する3つの変数の関数として容易に導く方法を考案し,解析的に逆運動学を解くことを可能とした.また,順運動学については従来と同様にニュートン法を用いて解くプログラムを作成した.さらに,以上のプログラムを用い,CADデータから工具経路,機構の制御入力を生成するシステムを構築した.以上の結果を用い,実際に多自由度加工を行い,提案する機構の実用性,構築した制御プログラムの妥当性を確認した. 次に,実際に加工誤差の評価・測定を検討した.加工誤差の評価として,本機構の分解能が,その姿勢とともに変化することに注目し,機構の入出力関係を表すヤコビ行列から,機構の各姿勢における任意方向への分解能の最大値を評価する手法を提案し,その変化の様子を表した.次に,実際に加工機構による加工誤差を測定し,得られた評価結果と比較して,機構の分解能が加工誤差に大きく影響することを確認した. さらに,各姿勢における分解能の評価結果を用いて,加工経路の刻み幅を決定する工具経路生成法を提案した.同方法を用いて,以上で構築したプログラムを用い加工シミュレーションを行った結果,加工誤差を抑制され,その有用性が確認された.
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