2004 Fiscal Year Annual Research Report
極薄Ag,Au金属膜による超潤滑現象とその表面2次元構造の研究-宇宙環境でのすべり面設計をもとめて-
Project/Area Number |
15360087
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
本多 文洋 豊田工業大学, 工学部, 教授 (20005953)
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Keywords | Ag / 薄膜物性 / 超潤滑 / 超高真空 / 摩擦 |
Research Abstract |
固体接触で低摩擦を実現できた例は、これまで二硫化モリブデン、グラファイトが古くから用いられ、2000年ごろからDLCが知られたが、これらとはまったく異なる系としてAg(111)がすべり面を作っていることが判明した。Agが通常もつすべり面(111)が極薄膜になると超流動性を持ち7/1000程度の低摩擦を示すことは、2次元に近づいたAg被膜は3次元の結晶とはかけ離れた物性を示す例として注目した。 摺動面のSTM観察に因れば、Ag(111)の単原子層の各層の間で可逆的にすべりを起こし、Ag(111)面が摩擦面に平行に整列することによって、極低摩擦を出現している。したがって、Ag単結晶では摺動開始後ただちに、Ag多結晶であれば摺動回数が多いほど摩擦係数が低下する。軟質とはいえ、Ag金属の結晶面で超低摩擦が発生することは、極薄膜の特性として新たな流動性が現れ摩擦に寄与することが知られた。 ここで用いたダイアモンドとシリコンウェファーをDLCと窒化珪素の下地に置き換えて試験し、実用化への応用を目指した。H-,Si-,Cr-DLCと窒化珪素の鏡面にAgを堆積させたが、Ag膜は摺動によって剥離し低摩擦を得るにはいたらなかったが、摩耗を1桁減らすことができた。また、Si(111)下地SOR-XDによればSi結晶の(111)回折に異常なピークが現われ結晶の歪があることを示している。名古屋大学と共同で最大限この結果の応用を目指し発展させる。
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Research Products
(7 results)