Research Abstract |
本研究課題において,今年度は以下の項目を中心に行った. 1.ダミー形状の完成 臀部及び支持構造,脊椎系,頭部の骨格構造を組み上げ,ダミーの基本構造を製作した.既存の研究や解剖学的情報,被験者実測データを元に,ダミーの姿勢・各部の接続や固定・支持構造等の検討を行った.特にダミー自立のための脊柱の支持構造に関しては,筋肉や靭帯の役割を模擬した複数案を作成し,加振実験を行ない各椎骨の動き等を検討した結果,各部の動きを個別に再現でき個別の調節にも有利である構造を採用した.更に脊椎安定に影響が大きいと考えられている腹部内圧を模擬して腹腔部前方にポリウレタンフォーム材を,強力な腹部の筋肉を模擬し側方にゴムによる支持構造を付加した.しかし,ダミー全体としては強度不足から実際の人体相当重量より軽量となった. 2.ダミーの検証実験と今後のダミーの検討 本研究では,振動評価用のダミーとして,骨格系の再現を重要視した骨格構造ダミーを製作した.完成したダミーを加振実験し,人体の加振実験データと比較し,評価を行った. ・5Hz付近の屈曲,8Hz付近の上下動という腰部に大きな動きの現れる共振の特徴を再現した. ・腰部椎間板の硬さや各部付加重量の変更実験から,背部・腹部の支えが硬すぎ腰椎骨間の動きが見られないこと,頭部重量がダミー全体の動きに大きく影響すること等が明らかになった. 以上,ダミーの実験結果,製作時の検討を踏まえ,今後の重要点をまとめた. ・利便性の向上(パーツの簡略化,数の減少化).バランスを崩し強度を下げぬ様要注意. ・頭頚部・腰部・各部の接続部は,特性への影響力が大きい. ・重量バランスは特性に大きな影響を与えるため,構造決定前にまずバランスの確定を行う. ・僅かな姿勢の変化でも影響は大きく,目的に合わせた姿勢の決定が重要.
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