2005 Fiscal Year Annual Research Report
高周波帯近接場顕微鏡技術の開発とその応用に関する研究
Project/Area Number |
15360181
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
莅戸 立夫 富山大学, 工学部, 助教授 (00261149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能勢 敏明 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (00180745)
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Keywords | 走査型近接場顕微鏡 / スリット型プローブ / ミリ波 / テラヘルツ波 / 受動型近接場顕微鏡 / 高機能化 / 応用 |
Research Abstract |
通常の光学系,伝搬波を用いた画像化システムでは,画像分解能は用いる波の波長程度に制限されるが,走査型近接場顕微鏡(Scanning Near-Field Microscope)においてはこの限界以下の分解能,すなわち波長よりも十分小さい分解能で物体を観察,画像化することが可能である。本研究では,我々が提案し,現在主にミリ波帯で研究・開発を行っているスリット型プローブを用いた走査型近接場顕微鏡システムに関して,ミリ波帯からテラヘルツ波帯(周波数:30GHz〜数THz)までの高周波帯における新たな計測技術を開発し,その応用を探索することを目的としている。本年度は主に,前年度Ka帯(26.5〜40GHz)で設計・製作を実施した受動型近接場顕微鏡システムを用いて画像再構成原理の実験的検証を試みた。具体的な研究事項及び結果,得られた成果を以下に示す。 受動型近接場顕微鏡システムの測定対象として樹脂製の電波吸収材料を用い,電波吸収材料の温度を変えた場合の受信信号強度の変化を観測した。その結果,信号強度は温度に比例して変化することが明らかとなり,製作したシステムが物体から放出されている極めて微弱な熱雑音を受信可能であることを示した。本結果より更に,受信器系の時定数が0.1msecとき,温度分解能は1K以下であることが明らかとなっている。次に,実際に画像再構成を行うためのデータセットを取得し,開発した画像再構成プログラムにより処理を試みた。再構成画像には若干のアーティファクトが現れているものの,対象の構造を反映した再構成画像が得られ,画像再構成原理の実験的検証に成功した。本システムは,生体組織等を対象とする微小領域の完全無侵襲計測に極めて有効であると考えている。
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Research Products
(4 results)