2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15360184
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
古屋 一仁 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40092572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 恭幸 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (40209953)
町田 信也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70313335)
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Keywords | 走査プローブ / ホットエレクトロン / 電子波回折 / 弾道電子放出顕微鏡(BEEM) / 量子FDTD法 / 相反原理 / 量子効果デバイス / 電子波フーリエ変換デバイス |
Research Abstract |
走査プローブによる固体中のホットエレクトロン波回折観測に向けて、理論的に、信号振幅がpAオーダーであることを解明し、実験的に、弾道電子放出顕微鏡(BEEM)技術を研究し二次元面内で均一信号取得を達成した。以下に詳細を述べる。 理論シミュレーションは、シュレーディンガ方程式の二次元FDTDプログラムを三次元化し、外側境界で無反射にする境界条件を明らかにし、一点から球面波を放射させて任意のポテンシャル分布空間での電子波伝搬シミュレーションを達成した。これを用いて球面波入力に対する検出確率流の比を得た。そして5pA程度のBEEM電流が検出できること、回折識別には1pAの電流分解能があればよい。BEEM法により電子波回折を検出する条件を初めて明らかにした。 実験はBEEM信号の安定化を研究し、表面金属に注入される電子波は探針先端と同じ直径をもつ開口による回折の影響を受けることを発見し、回折の影響を明らかにした。二次元で均一なBEEM信号パターンを得るために、トンネル電流を安定化させ、探針先端形状を安定化し、表面金属と半導体界面のショットキー接合を均一化し、そして表面金属厚さを均一化させた。さらに金属蒸着前の半導体表面を清浄に保つのに有効なセルフアラインプロセスを考え出して適用した。Au,Pt,WとGaAs,Siとの様々な組み合わせを試した。これらの実験研究の結果、蒸着金膜は10nmオーダサイズのグレインが形成され、グレイン境界でトンネル電流が不安定になった。50nm程度に広がる回折パターンを取得するには、グレインサイズ増大、またはグレイン無しのエピタキシャル成長層を用いることが有効であることを明らかにした。 以上、相反原理による半導体内電子波回折現象の観測が可能であることとその条件を明らかにするとともにBEEM技術を確立させた。表面導電層をエピタキシャル成長層で形成して目的を完全達成することが今後の課題である。
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Research Products
(3 results)