2006 Fiscal Year Annual Research Report
微小電子ビーム陰極を用いた小型遠赤外チエレンコフFELの開発
Project/Area Number |
15360195
|
Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
綱脇 恵章 大阪産業大学, 工学部, 教授 (90030056)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草場 光博 大阪産業大学, 工学部, 助教授 (70268283)
山本 幸男 大阪産業大学, 工学部, 教授 (80093475)
浅川 誠 関西大学, 工学部, 助教授 (30280704)
|
Keywords | free electron laser / Cherenkov / electron beam / micro-emitter / carbon nanotube / far-infrared / tera-hertz radiation |
Research Abstract |
遠赤外線は光と電波の境界領域に位置する電磁波であり、THz光としても注目され、いろいろな発生技術や応用研究がなされつつある。自由電子レーザー(FEL)も有力なTHz光発生装置の一つである。 我々はカーボンナノチューブ(CNT)や電界放出電子銃アレイ(FEA)を微小電子ビーム源として用い、誘電体表面近くにそれからの電子ビームを走らせ、チェレンコフ効果による放射光を利用し、通常の実験室でも使用できるコンパクトFELについての基礎を確立することを目的として研究を行ってきた。 チェレンコフFELを実現するには(1)微小電子ビーム源の開発、(2)電子ビーム収束系および伝搬系の開発、(3)各種誘電体の分光測定による複素屈折率の評価、(4)その導波路の開発、などがある。本年は最終年度に当たり、これらの研究を昨年度に続いて急ぎ並行して進め、それらを統合した研究へと発展させた。電子ビーム源については、紫外線レーザーで純度の高い単層CNTが得られたが、十分高い電流の陰極を構成するまでに現在のところ至っておらず、従ってSpindt陰極を取り付けた。また電子ビーム伝搬系については、縦磁場を用いるときと用いないときの2つの場合について、シミュレーションと実験で調べた。前者では直径10μm程度にまで電子ビームが収束して伝搬されることが期待され、一方後者では、1つの電界レンズのみで直径が1mmにまで収束された。このように収束性の点では縦磁場が非常に効果的であることが確認されたが、取り扱える空間の制限から、縦磁場を使用しない方法を必ずしも否定できるものではないことが明らかとなった。誘電体としてはSi結晶を用い、長さ11cmの共振器を製作した。実際の放射実験を行ったが、2T以上の強磁場下では放電が起こる。イオンポンプ動作と同様、局部的に高真空度が達成されていないことによると考えられる。さらに真空ポンプの取り付けを行い十分な真空度に達するまでのべーキングとエージングを行っているところである。このように装置などの組み立ては完了し放射光を得る寸前にまで至っており、後少しの時間が必要である。しかし、これらの研究の過程で、チェレンコフFELの物理学的機構の解明およびその利得とFEL成長シミュレーションコードの開発、レーザーアブレーション法によるCNT合成の確立およびその特性の照射レーザー波長依存性の解明など、種々の事柄を学問的に明確にできた。
|
Research Products
(4 results)