2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15360204
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
中川 恭彦 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 教授 (50006277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣尾 省司 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 助教授 (70242617)
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Keywords | ラム波 / 水晶 / ATカット板 / 温度係数 |
Research Abstract |
本研究は情報機器のクロック周波数を高周波化し、温度特性の優れたラム波型共振器を探索するため、ラム波理論を用いて理論および実験的に検討を行った。その結果、次の3点を明らかにした。 1.ラム波型基板の波動解析を行い、任意カットの水晶基板を伝搬するラム波の位相速度、電気機械結合係数および周波数温度特性について理論および実験的検討を行った。水晶基板の弾性定数、圧電定数および誘電率の3次までの温度係数を考慮した数値解析を行った。その結果、高周波動作が可能であり、またラム波励振用電気機械結合係数も十分大きいことが分かり、ラム波を用いた新しい弾性波素子用基板として十分に応用可能であることを示した。 2.温度特性の計算と最適カットの探索:ラム波の周波数温度依存性を解析した。三つのオイラー角を0.5°間隔で任意に変化させ最適カットの探索を行った。その結果、デバイス使用温度範囲(-20℃〜80℃)において周波数偏差がそれぞれ、0.7ppm、1.4ppm、1.24ppmと非常に優れた新カットを見出した。これらのカットはいずれも電気機械結合係数が大きくラム波基板として有望である。基礎実験によって、温度係数が優れていることを確認している。 3.励振電極面の裏面に薄膜(SiO_2,Au, Ta_2O_5)を設けた場合のラム波伝搬特性について検討を行い,弾性波速度の遅い薄膜を設けると電気機械結合係数が増大すること,速度分散性により周波数微調整が容易に行えることを明らかにした。実験により裏面に金薄膜を設けた場合について検討を行ない、膜厚0.03μm(波長10μm)の金薄膜を設けると電気機械結合係数が計算値より約10倍に増大することを示した。現在その理由についての検討を行なっている。また、他の材料での薄膜を設けた場合の電気機械結合係数の変化を実験により検討する予定である。
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Research Products
(2 results)