2003 Fiscal Year Annual Research Report
ピコ秒パルス励起超音波による生体ナノイメージング用音速顕微鏡の開発
Project/Area Number |
15360217
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
穂積 直裕 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (30314090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 和人 本多電子株式会社, 研究開発本部, 副本部長(研究職)
西條 芳文 東北大学, 加齢医療研究所, 助手 (00292277)
長尾 雅行 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (30115612)
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Keywords | 超音波顕微鏡 / 生体組織 / 音響イメージング / デジタル信号処理 |
Research Abstract |
(1)システムの概念設計 1GHz程度まで拡がる広帯域超音波パルス波形の送受を基本とする概念設計を行った。従来のバースト波形による方法では周波数を走査することにより強度および位相スペクトルを得、これを解析しているが、本研究で提案する方法では、広帯域の周波数成分を持つパルス波形を時間領域でデジタル計測し、周波数解析を行う。トランスデューサがもつ周波数特性を考慮し、測定に適した電圧パルス波形を検討した。また、走査装置と信号測定系とのマッチングを考慮した全体システムの概念設計を行った。 (2)観測装置の組立 中心周波数600MHzのトランスデューサを新たに製作し、400psの立ち上がり時間を有する電気パルスで励起したところ、800MHz以上の帯域まで拡がる広帯域超音波信号が得られることが判った。このトランスデューサと、0.1μmの精度で移動・位置決めが可能なX-Yステージを利用した機械走査システムとによる観測装置を組立てた。また、機械走査と反射信号取り込みとのタイミング調整を行い、一回のイメージングに必要な時間を2〜3分程度とすることが可能となる見通しを得た。 (3)信号処理アルゴリズムの開発 励起信号はインパルス波形に近いが、トランスデューサはS/N比向上のために共振特性をもったものを使わざるを得ない。このため出射波は振動成分を含み、生体組織切片からの反射波は表面と裏面の反射が干渉した複雑な波形となる。この波形から干渉する2成分を分離し、各点における組織厚さ、音速、音響インピーダンス、体積弾性率、密度などの情報を取得するアルゴリズムを検討した。従来の100MHz帯域のパルス励起超音波顕微鏡データに適用し、ラットの心筋細胞のイメージングを行い信号処理の妥当性を検証した。
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