Research Abstract |
中国・長江中上流域の版築盛土遺跡の調査と構築枝術の解明 昨年(2004)の8月、10日間ほどかけて中国・長江中上流域の版築盛土遺跡の調査を行った.まず武漢の近くの盤龍城遺跡.これは黄河流域の鄭州商城と同じ頃の城壁遺跡である.続いて天門市にある巨大城壁都市の石家河遺跡.これらはいずれも版築工法によって築かれたものである.石家河遺跡と同じ時代の陰湘城遺跡,戦国時代最大の国であった楚国の紀南城の城壁などを見て回った. そのあと,四川省の成都平原の城壁遺跡群,すなわち三星堆遺跡,都江堰に近い芒城遺跡,龍馬宝とん遺跡などを調査した.この間,湖北博物館,馬王堆遺跡博物館,三星堆遺跡博物館なども訪問し,貴重な資料や情報の入手を行った.これら遺跡で採取した土試料については,浙江大学岩土研究所て主に物理試験を行った. これらの調査の結果,長江流域においても,下流域の良渚遺跡時代の後の版築盛土遺跡が多くあることが確認できた.残念ながら今回,中国最古の城壁都市と言われる長江中流域の城頭山遺跡については,中国側の事情で,見ることができなかった.研究分担者の菅谷文則が今年(2005)3月,別途調査を行った。 中国・黄河流域の版築盛土遺跡の調査と構築技術の解明 今年(2005)3月,黄河流域に数多く存立する黄土の版築盛土遺跡の調査を行った.城子崖遺跡,殷墟,鄭州商城,二里頭遺跡,偃師商城,姜寨遺跡,半坡遺跡,仰韶遺跡などである. 古代中国の盛土構築に用いられた添加材と合成樹脂による土の改良効果 古代中国の盛土構築に用いられた添加材,すなわち消石灰,餅米の炊き汁,桐油と,現代遺跡の保存等に用いられるポリウレタン樹脂を,吉野ヶ里遺跡土やまさ土の加えて,改良効果を調べた.その結果,古代から用いられている,消石灰と桐油の組み合わせが最も優れた改良効果を示すことが明らかになった.
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