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2005 Fiscal Year Annual Research Report

有明海における底泥の生物化学的環境評価とその活性度に関する研究

Research Project

Project/Area Number 15360268
Research InstitutionKYUSHU UNIVERSITY

Principal Investigator

松永 信博  九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (50157335)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 安田 秀一  独立行政法人水産大学校, 水産情報経営学科, 教授 (10399628)
杉原 裕司  九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (70243970)
鬼塚 剛  独立行政法人水産大学校, 水産情報経営学科, 助手 (40399647)
Keywords有明海 / 底泥環境 / 栄養塩吸着・溶出 / 内湾固有周期 / 潮差増幅率 / 物質分散
Research Abstract

有明海湾奥部において底泥間隙水の水質調査を行った結果,南西側でAVS濃度は高い値を示しており,竹崎沖の底泥は広い範囲で嫌気状態となっていることが明らかとなった.これに伴い,硝酸態窒素(NO_3-N)の濃度は低くなり,逆に貧酸素化に伴い底泥からリン酸態リン(PO_4-P)が溶出し,PO_4-P濃度が大きくなっていた.しかしながら,アンモニア態窒素(NH_4-N)の濃度は竹崎沖では減少していた.間隙水中のアンモニア態窒素濃度は,一般に微生物による嫌気的分解により増加するはずである.NH_4-Nに関する逆の空間分布特性には有明海特有の現象が関与していると考えられた.「その原因は浮泥による栄養塩の吸着・溶出に拠る」という仮説を立て,有明海竹崎沖の底泥環境を栄養塩の吸着・溶出現象と関連づけて検討し,室内実験によりこの仮説の妥当性を検証することを試みた.その結果,底泥中の栄養塩濃度は深くなるほど高くなるという一般的な結果に反し,有明海竹崎沖の底泥中のNH_4-NとPO_4-P濃度は,還元層において深さ方向に著しく低下することを見出した.また,底泥の巻上げ実験の結果,DO濃度は減少するが,NH_4-NとPO_4-P濃度は増加せず,ほぼ一定値を取ることを見出した.これらの実験結果から,有機物が分解されているにもかかわらず,栄養塩濃度の増加が認められないのは,「有明海湾奥部西部海域において浮泥による栄養塩吸着が活発に行われている」という仮説の妥当性が示唆された.
有明海の環境に支配的な役割を果たす潮汐のデータを高い精度で詳細に解析し,従来の研究成果との比較を行った.有明海の固有振動周期に関してはこれまで複数の説が出されているが,本研究によると,固有振動周期は約8.3時間のところにあり,それが,M2潮成分などの半日周期潮汐を湾内で1.8倍の増幅を生み出し,そのことが国内でも最大の潮差を引き起こしていることが明らかになった.また,この増幅率はf値の変動とは逆の位相で18.6年周期の小さな変動をしていることが示されたが,この数年は変動に伴う回復が認められず,増幅率が減少していることもわかった.内湾における物質輸送に関しては,物質分散過程として説明する試みが多いが,国内の内湾では弱混合タイプで塩分が混合しにくいこともあって,うまく説明された例はない.ここでは,底質分布過程を明らかにするために潮流の振動成分による分散過程が有意であることを示し,そのプロセスが経常的で安定した分散過程であることを明らかにした.それによると,有明海では潮流による分散係数として10^4〜10^5cm^2/sの縦方向分散係数が基本的な輸送能力として底質分布に係わっていることが推測された.

  • Research Products

    (6 results)

All 2006 2005

All Journal Article (6 results)

  • [Journal Article] 有明海竹崎沖における底泥の栄養塩吸着2006

    • Author(s)
      徳永貴久, 松永信博, 磯野正典, 高橋篤
    • Journal Title

      水工学論文集 50(印刷中)

  • [Journal Article] 内湾における副振動の発生と有明海の潮汐増幅について-複合潮の振舞いと固有振動との共振-2006

    • Author(s)
      安田秀一
    • Journal Title

      海の研究 15(4)(印刷中)

  • [Journal Article] 半閉鎖性海域における副振動の挙動と有明海の潮汐の増幅2005

    • Author(s)
      安田秀一
    • Journal Title

      海岸工学論文集 52

      Pages: 191-195

  • [Journal Article] 沿岸海域おける物質分散(シアー効果)の振舞とその役割2005

    • Author(s)
      安田秀一
    • Journal Title

      2005年度日本海洋学会春季大会

      Pages: 118-118

  • [Journal Article] 有明海湾奥西部海域における2003・2004年夏季の物理環境の違い2005

    • Author(s)
      鬼塚剛, 安田秀一, 松永信博, 徳永貴久, 阿部淳, 高島創太郎, 河野史郎
    • Journal Title

      2005年度日本海洋学会秋季大会

      Pages: 134-134

  • [Journal Article] 有明海北部海域のDO変動に関する定点観測-2002〜04の夏季観測結果の考察と豊前海との比較-2005

    • Author(s)
      安田秀一, 鬼塚剛, 松永信博, 徳永貴久, 阿部淳, 高島創太郎, 河野史郎
    • Journal Title

      2005年度水産海洋学会研究発表大会

      Pages: 79-79

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Published: 2007-04-02   Modified: 2016-04-21  

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