2003 Fiscal Year Annual Research Report
空間経済システムにおけるオプション行使ゲームに関する研究
Project/Area Number |
15360272
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤松 隆 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (90262964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 敬 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (30273882)
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Keywords | リアル・オプション / ゲーム理論 / 寡占競争 / サブ・ゲーム完全均衡 / 確率的制御 / 微分ゲーム / 社会的最適状態 |
Research Abstract |
本研究の目的は以下の2つである.まず,第一の目的は,動学的不確実性下で寡占競争状況にある企業の戦略的行動を説明する理論,すなわち,"リアル・オプション・ゲームの理論"を構築することである.第二の目的は,経済主体間の相互作用に空間が直接的な役割をはたす空間経済システムに対して上記の"オプション・ゲーム理論"を拡張することである.今年度は,主に,第一の目的に関する研究を行った.より具体的には,寡占状態にある2企業が,各企業のもつ戦略変数変更オプション("リアル・オプション")を行使する状況を確率的制御問題として定式化した上で,起こりうる動学的な均衡状態および均衡戦略の特性を明らかにした.ここでは,まず,戦略変数として各企業のサービス提供価格を変更するタイミングのみを戦略変数としたゲームのサブ・ゲーム完全均衡状態を解析した.次に,生産するサービスの需要が,価格のみならず,質にも影響される状況で,両企業の最適な変更価格を内生化したゲームへと理論を拡張した.その結果,確定的状況では想定できない初期状態に依存した複数の均衡パターンが存在すること,不確実性の大きさ(サービス価格の確率的変動のボラティリティ)に応じて,複雑な均衡戦略が得られること等が明らかとなった.また,その各々の状況について,社会的余剰を最大化する(社会的最適)状態を定式化した上で,均衡状態との相違点,および,均衡状態を社会的最適状態へ近づける(均衡状態の厚生を改善する)ための方策を明らかにした.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 赤松隆, 棟方章晴: "価格変更ゲームにおけるオプション行使戦略"土木計画学研究・講演集. 28(CD). No.14 (2003)
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[Publications] 赤松隆, 長江剛志: "リアル・オプション価格の統一的計算法:相補性問題アプローチ"土木計画学研究・講演集. 28(CD). No.72 (2003)
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[Publications] 赤松隆, 長江剛志: "連鎖的意思決定構造を考慮した不確実性下でのプロジェクト評価手法"土木計画学研究・講演集. 28(CD). No.73 (2003)
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[Publications] 長江剛志, 赤松隆: "不完備市場リスク要因を考慮したリアル・オプション評価"応用地域学研究・論文集. 8(2). 81-93 (2003)
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[Publications] 赤松隆, 長江剛志: "経済リスクを考慮した社会基盤投資プロジェクトの動学的財務評価"土木学会論文集. IV-62. 39-54 (2004)