2004 Fiscal Year Annual Research Report
戦略的強震観測及び地震被害分析に基づく中低層建物の地震時挙動及び耐震性能の解明
Project/Area Number |
15360295
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
福和 伸夫 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (20238520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飛田 潤 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (90217521)
中野 優 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助手 (40314041)
飯場 正紀 国土技術政策総合研究所, 研究官
護 雅史 清水設計技術研究所, 副主任研究員
宮腰 淳一 清水設計技術研究所, 副主任研究員
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Keywords | 中低層建物 / 強震観測 / 常時微動 / 動的相互作用 / 立体振動特性 / データ公開 / 多店同時記録 / 災害情報システム |
Research Abstract |
中低層建物の地震時挙動や耐震性能については、解析的に明確にできていない要素の影響が大きい。たとえば構造物と地盤の動的相互作用、二次部材の影響、建物の立体振動特性、隣接建物間の相互作用、減衰性能、さらに大変形時の弾塑性挙動などである。これらを明確にするためには実建物の観測事例の蓄積が重要であるが、ごく一般的な中低層建物の観測記録は質量ともに不十分である。 本研究では建物強震観測の現状の課題を克服する方法を具体的に提案・実現すると共に、強震観測データの分析から構造物-地盤系の地震時挙動や建物の耐震性能評価に関する新たな知見を構築することを意図している。本年度は、昨年度からの各種建物における観測実績の蓄積を受けて、以下の諸点を展開した。 1.少数の建物を対象に建設期間中も含めて系統的に振動実測を行う戦略的強震観測・常時微動計測プログラムを計画、実施することにより、中低層建物の実測記録を質・量ともに充実させる方策を示している。従来の観測結果もこの流れで整理しなおした。 2.この結果の分析から、中低層建物の振動性状に及ぼす慣性の相互作用、入力の相互作用、隣接建物間相互作用、2次部材の剛性を分離して抽出することに成功し,これらの要素が振動性状に及ぼす影響を明確している。これにともない、建設中の建物における強震観測手法及び機器の開発なども行っている。 3.多数の強震観測・常時微動計測結果を建物・地盤情報などとともに整理してデータベース化し、ウェブインターフェイスにより公開する手法を検討した。これは貴重な観測記録の共有化と公開を促し、データ不足を補うために活用しうる。 4.建物の多点同時観測体制に基づく立体振動特性のリアルタイム可視化表示や、インターネット接続による多地点のリアルタイム振動監視システムなどの技術開発に基づいて、地震工学だけでなく防災情報システムとしての利用を検討した。
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