2004 Fiscal Year Annual Research Report
巨大磁気熱量効果を示すMn-プニクゲン化合物の磁気冷凍特性の評価
Project/Area Number |
15360334
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
和田 裕文 京都大学, 工学研究科, 助教授 (80191831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 裕 新潟大学, 理学部, 教授 (10242835)
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Keywords | 磁気熱量効果 / 磁気冷凍 / 一次転移 / 磁気エントロピー / メタ磁性 |
Research Abstract |
最近,磁気冷凍が地球環境にやさしく,かつ省エネルギーが図りやすい冷凍技術として注目されている.磁気冷凍は磁気熱量効果を利用した冷凍法であり,その実現には大きな磁気熱量効果を示す物質の開発が不可欠である.われわれは一次転移が大きな磁気熱量効果を示す可能性があることを指摘し,2002年にMnAs_<1-x>Sb_xが室温付近で巨大磁気熱量効果を示すことを見出した.本研究はMnAs_<1-x>Sb_xを中心に,室温から低温での磁気冷凍デバイスを開発するための磁気冷凍特性の評価を目的としている. 本年度の結果は以下のとおりである. 1)前年に引き続き,MnAs_<1-x>Sb_xの磁気熱量効果に及ぼす熱処理の効果を調べた.その結果オプティマムな熱処理条件をxの関数として求めることができた.また本研究で得た熱処理条件が,非常に再現性のある結果を与えることを実証した. 2)典型的な遍歴電子メタ磁性体であるCo(S_<1-x>Se_x)_2の磁気熱量効果を測定し,理論との比較を行った.遍歴電子メタ磁性の理論によると磁気エントロピー変化ΔS_Mのピーク値はあるキュリー温度で最大をとることが期待されるが,この系ではそのような振る舞いが観測された.一時転移ではクラウシウス-クラペイロンの関係式によって,磁気エントロピー変化ΔS_Mは転移温度における磁化の変化ΔMと転移磁場の温度依存性(dB_C/dT)の積で表される.Co(S_<1-x>Se_x)_2ではT_Cが下がるほどΔMは大きくなり,一方,(dB_C/dT)は小さくなる.両者の兼ね合いでその積ΔS_Mは極大を取ることが判明した. 3)MnAs_<1-x>Sb_xの磁気熱量効果についても熱力学的に検討した.その結果,この系ではΔMが非常に大きいのでΔS_Mが大きくなる.またこの考察の一般的な帰結として,室温で巨大磁気熱量効果を示す物質を一時転移に求める場合,遷移金属ベースの化合物が希土類化合物より有利であることも示すことができた.これは今後の物質探索の大きな指針になるものと考えられる. 4)強磁性-反強磁性転移を示すMn_3GaCの断熱温度変化を直接測定によって求めた.この系の断熱温度変化は磁気エントロピー変化と同じような温度依存性を示すことを明らかにした. 5)MnAs_<1-x>Sb_xと同じく室温で大きな磁気熱量効果を示す物質としてMnFeP_<1-x>As_xが知られている.この化合物はFe2P型構造を持つが,最近この化合物のAsがSiやGeに置換することが報告された.そこでMnFeP_<1-x>Ge_xについて試作を行い,試料作製条件を調べた.
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Research Products
(6 results)